MC-202(Roland)
今回のエントリは、前回少し触れたRoland MC-202についてでござる。
1983年春、ちょうどYMOがアルバム『浮気なぼくら』をリリースした頃、このマイクロコンポーザーMC-202は発売された。価格は69,800円だったと思う。
ポリフォニックシンセに続き、プロにしか持ち得なかったツールが降臨した、ということで広告を見て身悶えした。
2チャンネルながらモノフォニック・シンセサイザー1台を搭載し、2000ノート超を打ち込めて、B5ノート大で軽く乾電池で駆動しちゃうという、なんかvolca keysの記事でも書いた気がする、当時としては超CPの良い(最近はコスパとすら書かないそうで)マシンでございました。
僕がこのMC-202を手に入れたのは、発売から2年後のこと。
近所の電気店のお兄さんが「デジタルシンセを買ったから要らなくなった」と、2万円で売ってくれたのだ。
まさに「渡りに船」だったわけだが、この85年前後というのは、ニューウェーブ最前線を駆け抜けてきたアナログシンセ一派が白旗を揚げながら投降し、将来有望なデジタル派に寝返った時期だ。
家電店のお兄さんにとって、僕は遅れてきた少年だったのだろう。
「俺はこの街を出る。形見として持っていてくれ」
お兄さんはそんな思いで僕にMC-202を託したに違いない。
ちなみに当時のカタログでは搭載されているシンセが同社のSH-101と同等、と書かれていたけど、モジュレーション系など一部が省略されていて、エグい音は出せなかったので念のため。
むしろこのマシンの核は、TB-303同様グライドが入力できたり、テンキーによるステップ入力でMC-4感を満喫したり、先に鍵盤状のボタンでノートだけ打ち込んでおきタップでリズムをとるなど、様々な入力方法が楽しめるシーケンサー部だったように思う。
結局、翌年には僕もヤマハのDX21を手に入れ、デジタル教に改宗してしまったものの、MC-202のコンパクトさが好きで手元に残しておいた。
まさか30年近く経って、最新のシンセと繋ぐことになるなんて想像もしていなかったけれど。