sh101's blog

シンセとラジオの40数年。

ラジオ業界を目指す方に。

このブログ、シンセのことばかり書いてますけど、実は「シンセとラジオの40数年」というサブタイトルを付けてます。

そんなことを先ほど思い出しました。はい、忘れてましたよ。

で、今回は最近の体験から、ワタクシの本業であらせられるラジオ業界を目指す方にちょっとしたアドバイスというか指南というか、まぁアレだ、要は「こういうのは禁句だかんね」な話を書いておきます。
ただし、これはワタクシ個人の見解のため、どこの社でも通用することでもないですし、ワタクシの所属する社においても絶対的に通用するハナシではありませんので念のため。

こう書いておかないとわからない方がいらっしゃる困った時代です。
文脈で察しろよー。筆記試験で落とされるぞー

で、採用試験というのがありまして、試験官になると「どーもはじめましてー」という方を何人も拝見した上で、この人と一緒に仕事したいかどうか決断を下すわけです。
おそらくこの試験に人生賭けてる方々がほとんどなわけですが、みんな同じようにベットしてるわけですから、その中から「お前の人生もらったどー!」と見抜くのもなかなか大変です。
こちらも社運を賭けて人選するわけですよ

そんなわけで、まずは心得から。
多くの方がご存知かと思いますが、ラジオ業界にはバラ色の未来など保証されておりません
radiko.jpなどのネット環境やFM補完局に頼って混信なく聴ける環境が構築されつつありますが、広告費はここ10年ほど低空飛行です。
オワコンぎりぎりながら、母数となるエリア人口のおかげでなんとか主要メディアのお仲間に混ぜていただいている有り様です。

この状況で生活の安定を目指す、なんて方は余程の資産家か、はたまた相当の自信家とお見受けいたします。
「私が入社すれば御社に安定収入を保証しましょう」と断言できるだけの強力な財力を持ち込める方だけが「生活の安定」を口にできるわけですね。

そういう財力がない場合は、波乱の中でもモチベーションを下げずに社業を盛り上げるため努力できる度量、とどのつまりはハートが必要です。
社畜になる必要はありませんが、鵜匠のように社をコントロールしてやる、くらいの気概と労力は必要です。
果たして本当にコントロールできるようなパワーと頭脳を発揮できれば、安定も決して夢ではありません。
しかるに安易な安定志向を持つことは、相当な覚悟と実行プランを要しますし、案外そういうしたたかさは見破られます。
軽々しく口になさらぬよう。

次に志望動機について。
今も昔も「スポーツ中継がしたい」「アイドルの番組を作りたい」という方が多いんですが、それはすでにあるコンテンツですから、採用されればそういった番組を担当できる可能性は充分にあると思います。

しかし、これはあくまで「制作部に配属になれば」ということが前提です。
面接官は営業、総務、編成など番組を制作していない部署からも選ばれています。
特に制作部での採用を明言されていない場合、アピールがそこしかなければ、制作以外の部署から「あっそうですか」と関心を持たれなくなります。

そして「地域の魅力を発信したい」という目標をよく目にするんですが、これは個々に考えることではなく社業社是そのものであります。
誤解されている方もあるかと思いますが、在京キー局とて実際は関東エリアの魅力を発信するローカル局です。
民放連加盟の放送会社でこれをしてないのはWOWOWくらいのものです。

つまりこの目標を掲げるのは、鉄道会社の採用試験で「電車を安全に走らせます」と言い放つことと同じです。
何か素晴らしいことを言ってるようで、実は何も言ってないわけですね。

次に「当社に入られたら、何を目指しますか?」に対する答えについて。
ここで「リスナーの新規開拓」をアピールされる方は、それなりに策を準備しておく必要があります。
新規開拓が必要なのは、プロなら誰もが自覚してますので。

「で?」と問われて「ネットやポータルサイトを使い…」などと答えるのも危ないです。
こちらはリスナーからのお便り=個人情報をいかに漏らさないかなど、イット関係情報を日夜追っかけている企業体です。
また局によってはゲリラ的にUSTREAMやニコ生を開始する番組を持っています。
こうしたポータルとは企業としてお付き合いをしている局も多いので、こうした事情を調べずに安易に「新規開拓の秘策=ネット」と口走るのは、高確度でヤバいですよマジヤバいヤバい
「御社はご存知ないかもしれませんが、ネットでは…」のスタンスは絶対見せないようくれぐれも注意しましょう。

ということで、禁句ばかり書いてきたんですけど、じゃあワタクシがどういう人と働きたいかというと、前述した鵜匠のごときコントロール術を生み出す人であれば、同僚としてウェルカムです。

端的に書けば、これまで熱を上げてきたことをしっかりと話せる方です。
その熱を上げたことは、別に放送と関係なくても一向に構いません。

またその熱度について「感動」という文言を加える必要もありません。
映画であれ、なんであれ、その様子を見ていない人に「私は感動しました!」と言ったところで「あー、それは良かったですね、ふーん」以上の言葉を次ぐことができません。

それよりも「これにハマったばかりに、単位を落としちゃいましたハハハー」の方がリアリティがあります。
何かに熱を上げるのは大変なことで、別の何かを犠牲にするツラい作業です。
大事なのは、その犠牲をはっきり認識できることなんですね。

どんな業種であれ、企業体は利益を求めます。
そのために家族との時間や人件費、あるいは他の企業との関係、場合によっては同僚や上司との意見の相違など、ありとあらゆるところに乗り越えるべき障害と犠牲を生じます。
それを意識して乗り越えてでも新しい仕事を成し遂げられるか、が大切です。
それはとりわけ斜陽となったこのメディアでは覚悟を伴った「熱度」が必須となります。

これから採用試験に臨まれる方には「この業界にはこんなことを書くヤツもいるんだ」とアタマの片隅に残していただければ幸いでございます。
ご査収くださいませ。