sh101's blog

ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセを語る日々

Arturia、タッチ鍵盤のMicroFreak発表で、いろいろ考えた。

シンセサイザーが日本でどれほどニッチなホビーと言えど、世界規模ともなれば充分なマーケットになるわけでして、さらに価格競争ともなれば、我が国が誇る3大メーカーもウカウカしちゃいられません。

まさにNAMM 2019真っ盛りの今、またもこのブログで扱うに相応しい「ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセ」が、今度はエスプリの薫り高き国・仏蘭西からやってきました。
って、なんだこの書き出しは。

ニッチなお友だち諸兄には説明不要のArturiaが、Eurorackモジュラー・メーカーのMutable Instrumentsと共同開発したシンセ、"MicroFreak"を発表しました。

かの"Minimoog V"をはじめとする名機を再現したソフトシンセからハードに手を広げ、"Minibrute""Microbrute"など、アナログシンセ一筋にリリースしてきたArturia。


出典: Arturia

今回の"MicroFreak"はオシレーターにデジタル、フィルターにアナログというハイブリットな4ボイスシンセとなりました。
名は体を表すと言いますが、このなんとも禍々しくフリーキーなルックスと、その薄さに目を奪われてしまいますな。

Eurorackだのなんだのは、ワタクシの不得手分野ですし、その辺りの協業やら開発云々については、おなじみのICONさんがメーカーに取材されてますのでご参照のほどひとつ。

モーションも記録可能な64ステップのシーケンサーやアルペジエイター、出逢い系なランダマイザーなど、廉価シンセのトレンドをほぼ網羅してますが、ここで触れておきたいのはタッチ式のキーボード。
なんとこの価格帯でアフタータッチにも対応しております。

タッチパネル式鍵盤と言えば、拙ブログでは先日こんな記事をアップしておりました。

奇しくもNAMM直前には、あのスタイロフォン(英dubreq社)からこんなシンセも発表されていました。

産業遺産を思わせるアンティークな出で立ちのこちらは、パッチングも可能なフルアナログシンセ。
上掲の動画ではブリブリと太ましいサウンドを響かせておりますが、やはり外観上目立つのはタッチ式のキーボードです。

まあ、そもそものStylophoneが、金属製のキーボード+スタイラスなんですけども。
これ買ったの、もう12年前かぁ…

さて気になる価格ですが、Arturia MicroFreakも、Stylophone GEN-R8も、ともに海外で349ドルとのこと。
国内価格は大手ショップも「未定」とありますが、まあ5万円以内で入手できるんでしょうな。

ここ最近の記事にも書いたように、この価格帯は近年にない充実のラインナップとなっております。

で、以下は戯言です。

この2019年を境に、数万円台のシンセでは物理的な耐久性の問題やコスト面からか、示し合わせたかのように、タッチ式鍵盤のトレンド化が一層高まった感があります。

日本における製品紹介も「キーマガ向け」と「サンレコ向け」の二極化が進んでるように思うんですが、大変なのは若いビギナーです。
低価格で何か欲しいと思ったら、いきなり「お前はシンセを鳴らしたいのか、それとも鍵盤を弾きたいのか」と金銀の斧的選択を迫られるからてす。

一方、この数年続いてきた音源のフルアナログ化も飽和状態となりつつあり、VAやFM、Wavetableなど複数のオシレーターをチョイスできるタイプも増えています。
今回たまたま並べたMicroFreakとGEN-R8は、電子楽器のトレンド分岐点を象徴しているんじゃないかと。

フルアナログで音を追求するモノフォニックシンセと、デジタルながらより深い音楽体験を味わえるポリシンセの二極化もあるようです。

その意味で、KORGの新商品minilogue xdは、若干高めですが、廉価シンセが現在置かれているあらゆる分岐点の、ちょうどド真ん中にある稀有な商品だなと思います。

ところで拙ブログは、最初に手に入れたシンセをタイトルにしていますが、やはり初めて抱いたオンナというのは思い出度合いが2人目以降とは異なるものです。

アタクシの場合、「SH-101で良かった」と堂々と胸を張れますし、少し下の世代になると「TMN好きだからEOS一択でしたよ」なんて喜んで話してくれます。

しかし、今のビギナーたちは、例えばリアル鍵盤かパネル式かで失敗したり、はたまたクローンと陰口を叩かれているのを知りorz…なんてことだってあるわけです。
シンセ童貞の皆さんには、後で後悔しないよう、本気で遊べるいいシンセを見つけていただきたいものだなと思います。

総括っぽいこと書いてますけど、要するに、廉価シンセはメーカー含めて選択肢が増えてオッサンには楽しいけど、未成年のビギナーは用心しろよ、というところでひとまず本稿を締めます。