シンセサイザーとしてのTHEREMINI
つい先日、moog待望のフルアナログ・ポリシンセMoog Oneの国内販売が決定し、発表された価格に国民総溜息だの、いろんなニュースはありますが…
当ブログは「新機種情報ガイド」を銘打ってるわけでもないので、基本的にはワタクシの興味の強い順に記事を粛々と書いております。
今回もmoogとは言いつつも、残念ながら5年も前に販売された、しかも鍵盤付きシンセサイザーではないものについてまたもエントリーを続けます。
ミルコ・クロコップに「おまえは何を書いているのだ」と言われようと、興味が強いのだから仕方ありません。
まあ、だけどもだ、今回はシンセサイザーとしての側面から書くので「へぇ、こんなシンセがあるんだ」くらいには思ってもらえると思います。
Moog Oneとは対極にある、同社製最安値ハードであるTHEREMINI。
シンセマニアに伝わるように言えば、音源部にAnimoogのエンジンを積み、鍵盤の代わりにテルミン式インターフェイスを採用したDSPシンセです。
iOS専用シンセアプリであるAnimoog、X-Yパッドによるモジュレーションに注目が集まりましたが、その出音の良さも絶賛されておりました。
本機には、その特徴的なモジュレーションサウンドや、Etherwaveサウンドなど32音メモリーされています。
ただし、単体での音作りはできません。
その代わり、本体をPC(またはiPad)にUSB接続し、無償で配布される専用エディターを起動すれば、音作りはもちろん、音色のストックや入れ替えも可能です。
エディター側でパラメーターを弄れば、接続された本体にすぐ反映する辺り、僕の大好物であらせられるToraiz AS-1とも似ています。
構成は、アナログで言うところのVCO-VCF、プラスアルファです。
ウェーブフォームはサイン波、三角波、SuperSawという定番に加え、Animoog波形のバリエーションとなるBrightやHollow ※、さらにウェーブテーブル音源としてAnimoog1とEtherwaveが選べます。
この最後の2つについては、時間軸で波形を変化できる"SCAN"に対応しています。
※最初のバージョンではBrightはAnimoog2、HollowはAnimoog3という名でSCANにも対応していた模様。
フィルター部は、おなじみのCUTOFFとRESONANCE、そしていわゆる「キーフォロー」であるPITCH TRACKの3パラメーター。
ちなみに、THEREMINIのサウンドメイクにはエンベロープの概念がありません。
電源をオンにしたところからゲートが開きっぱなしであり、発音や音階の変化に応じてトリガーが出るわけではありません。そのためエンベロープがないのです。
では、RESONANCEはあるのにエンベロープなしに、シンセ特有の「ミヨッ」という音が出せるのか?
その設定がADVANCEDメニューにあります。
ボリュームアンテナの項目に"FILTER CUTOFF"というパラメーターがあります。これでプラスマイナスを設定すれば、左手の動きに応じてフィルターが開閉し、あの「ミヨッ」を鳴らすことができます。
シンセサイザーにおける「ミヨッ」はたいていエンベロープやベロシティに紐付けられ、一度音作りをしてしまうと、変化に要する時間が決まってしまいます。
一方、THEREMINIでは左手の動きでフィルターの開閉を行えるため、ゆっくり動かせば「ミイィィヨオオォォン」にすることもできます。
また手を動かす距離によって変化量もコントロールできます
。
ちなみに右手のピッチアンテナでも、RESONANCEの量をコントロールできます。つまり音が高く(低く)なるにつれてピークをコントロールできるわけです。
左手と併用して遊ぶのも一興かと。
鍵盤型のシンセでは真似のできないフィルター弄り、THEREMINIのみが可能な芸当ではないかと思います。
moog THEREMINI テルミニ MG ETHERWAVE THEREMINI テルミン
- 出版社/メーカー: moog
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ちなみに、僕がAmazonでTHEREMINIを買ったのは今年の6/10で、その時点の価格は3万円台だったんですが、その直後から在庫があるものについては4万円台後半〜6万円台に上昇しております。どういうことよ。
3万円台で販売しているショップはたいてい在庫切れなので、少しでも安く買いたいという向きは入荷時期など要確認でひとつ。