sh101's blog

ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセを語る日々

KORG NTS-1をナメてました。ごめんなさい。

新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っております。
なんだか評判の悪いWHOが"COVID-19"と命名したそうですが、海外の新鋭メーカー製19音ポリシンセにしか思えないのは何かのお病気でしょうねお大事に。

さて名古屋くんだりでも不要不急の外出を控える人たちが増え、ワタクシも「週末に何か集中できることを」という大義名分のもと、KORGNTS-1を購入してまいりました。

実は今年1月に品切れ状態だったのと、RolandのMC-101に夢中ですっかり忘れてたんですけどね。
発売から半年近くも経ってのレビューに意味なんかあるのでしょうか。

まあ、それはさておき。
ご存知でしょうが、このNTS-1はDIYキット、つまり完成品ではなく、自分で組み立てるシンセです。
工具(ドライバー)も付属しているので、必要なのは一枚成形のパネルをパキッと分割できる腕力のみという親切仕様です。

ワタクシの場合、全て組み上げた後に、サイドパネルがパカパカして落ち着かないことこの上なし。

ネジを全て外してみたら、四隅の金属パーツとサイドパネルの留め方を完全に勘違いしていたことがわかり、最初の工程から組み立て直す羽目に。
誰でも簡単に作れるものすら失敗するとは、不器用にも程がありますね。

そんな事情で完成に30分を要してしまったので、本来なら20分もかからず仕上がるんでしょう。

久々にmonotronを引っ張り出して並べてみました。
「アナログの復権」をテーマにmonotronが発売されて9年、まさかVAシンセにリボンコントローラーが再活用されるとは。

鳴らしてみたところ、想像以上にすごい音がします。
エフェクトの功績も大ですが、税抜き1万円とは思えないゴージャスな出音です。
どこまでも果てしなく伸びるリバーブは、なかなかお耳にかかりません。
ブラインドテストで価格当てクイズなんか開催してみたいものです。

OSCモードはShape可変のノコギリ波、三角波矩形波に加え、VPM(Variable Phase Modulation)とユーザー・オシレーターから選べますが、VPMがとにかく面白い。

AノブとBノブの組み合わせがFM音源でいうところのキャリアとモジュレーターで、サイン波から、ノコギリ波風の太い低音、金属音まで幅広いサウンドが得られます。
マニュアルではなぜか「パルス波」と書かれてるのが不思議。

LFOはPitchまたはShapeにかけられ、PWMも作れます。

FILTERモードには3タイプ(LPF/BPF/HPF)あり、それぞれに2ポール/4ポールを選択可。オフにすることもできます。
モジュレーションはLFOのみで、エンベロープがないのは惜しいところですが、その分ノブコントロールで遊びましょう。

EGモードはノブでアタックとリリースのみ弄れますが、5種類のタイプから選べるので困ることはないかなと。
珍しいのは"AR loop"で、セッティング次第でスライサー的なサウンドが作れます。
LFOトレモロが作れるのは、この価格帯では珍しいかも。

そして前述のエフェクトは3系統。
MOD(コーラス/アンサンブル/フェイザー/フランジャー)、DELAY(ステレオ/モノ/ピンポン/ハイパス/テープ)、REVERB(ホール/プレート/スペース/ライザー/サブマリン)と種類も豊富。しかもクオリティもかなり高いです。

特にリバーブは近年稀に見るビシャビシャ加減なので、印象に残るワンショットが作れそうです。

この価格帯でリバーブ搭載なんて、30年前の自分に聞かせたら驚くでしょう。ま、謎の新ウイルスでパンデミックの方がインパクトは強いでしょうが。

アルペジエイターはすでにvolca FMなどにもありましたが、リボンコントローラーを弾きこなすのはあまり現実的ではないので、volca以上に活躍しそうです。


NTS=Nu:Tekt Synthesizerの略称、みたい

なお、USBジャックから通電があれば電源ON。オフにしたい時はケーブルを引っこ抜く粗暴さがたまりません。
本体には音色メモリなどなく、作り込んだサウンドも電源を落とせばサヨウナラ、というのもVAシンセでは異例ですね。

さて、ひと通り単体で使ってみた印象ですが、これまでのKORG製ガジェットと違って遊びがない感じ。
もちろん悪口ではなく、値段相応の中に超高速LFOを混ぜちゃうような「一点狂気主義」が特徴だった従来製品とは違い、音質然り機能然り、ちゃんと単体のシンセとして完成されていることに驚きました。

つまり、本来の「コスパ」という意味で最強かと思います。

例えば10万円のシンセがあって、その機能の1/5が使えるガジェットが作られたとして、2万円で販売されることはほとんどないでしょう。
価格は筐体の組み立てだのパッケージだの、あるいはロットだの、機能とは関係のないコストで決まります。

しかし今回のNTS-1については、コストを抑える努力がそこかしこに見えてもなお、価格の倍以上に価値のあるいいシンセだと断言できます。
まあ騙されたと思ってぜひ。

ちなみにユーザー音色やエフェクトはまだ試してないので、また後日。