MC-101、最終形態か?
コロナ禍で在宅時間が増えた間に、RolandのMC-101が2度のバージョンアップを果たし、3月の時点とは別物になってしまわれたのでレポートしておきます。
まずは4/6に公開されたVer.1.30から。
クリップ・チェイン機能キター
1.30での大きな追加としては、クリップ・チェイン機能、 [C1] ~ [C4] つまみの機能というところかと。あと、曲まるごとではありませんが、SMFのインポート機能も追加されてます。
クリップ・チェイン機能はCLIPごとに「何回リピートしてどのCLIPに繋げるか」を設定できるもので、発売後から要望の高かったソングモードの代用となる機能です。
そして[C1] ~ [C4] ノブではSINGLE/MULTIの2モードが選べるようになりました。
これまでの[C1] ~ [C4] ノブがトラックに割り当てられていたのが"MULTI"となります。
一方、"SINGLE"は、現在再生またはエディット中のトラックのみに機能します。
つまり選んでいるトラックでカットオフとレゾナンス、ディレイとリバーブのデプスなどを同時に操作でき、よりシンセ的に使えるようになったわけです。
サウンドパックはお薦め
そして緊急事態宣言が解除され、人々の気が緩み始めた6/10、まるでまた家に篭ってなさいと言わんばかりにVer.1.50へのアップデートがやってきました。
1.40をすっ飛ばしてきたということは、アプデがそれなりに大きい証であります。
- サウンド・パック/ SVZ ファイルのインポート機能の追加
- シーン数の追加
- MIDI 入出力機能にパラメーター追加
- PAD MODE CHORD の追加
- パラメーターの追加
- NOTE UTILITY 機能の追加
- ユーザー・サンプル編集機能の追加
- ショートカットの追加
目を見張るのは、1月から予告されていたZEN-Coreによるサウンドパック対応です。
https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0526872_03.pdf
FANTOMやJUPITER-X系のハードと共通の音色が出せるということで、この予告には非常に期待大でした。
このサウンドパック、Roland Cloud ManagerというPCアプリで「ZEN-Core Sound Pack“SDZシリーズ”」として販売されています。各ジャンルに適した音色が1パックあたり30前後収められています。
各パック0.99ドルで1音あたり3円くらいですね。 10種類を一気買いしても日本円で1,000円ちょっとです。
ちなみに各パックのデモは下記から聴けます。
デモ曲の完成度はなかなか高く、なんならミニアルバムとしてBGMに流すのも全然ありですが、パックを入手してから改めて聴くと「もしかしたら自分にも作れちゃう」感が高い曲ばかり。なかなかこういうデモには出会えません。
無論MC-101では作られてないでしょうが、パートのバランスなどは大いに参考になると思います。
さて、アプリ上で決済を済ませたら、まずPCにダウンロード。
そしてMC-101のSDストレージ[ROLAND]直下に[SOUND]フォルダを新規作成し、そこへ各フォルダをコピーすればOK。
本体の音色セレクトで、[PRESET]などに並び、新たにできた[SOUND FILE]からそれぞれのサウンドパックを選び、各音色を選択します。
もともとプリセット音の出来もいいのですが、パックではおそらく4つのパーシャルをフルで使ったと思しきサウンドが多く、ホントにこんな小さなハコから鳴ってるのか、と感心することしきり。
貧乏臭い感想ですが「上位機種と同じ音が鳴る」というのはこういうことなのかと身に染みます。MC-101は税抜き5万切りますからね、何しろ。
メジャーアップデートでしょコレ
そして1.50で変わったことはこれだけじゃございません。
まさかのPAD MODE CHORDの追加です。
13のパッドそれぞれにルート、スケール、展開の異なるコードを設定できます。
ハードの制約が多いMC-101だけに、コードモードは最も付けてほしかった機能でしたが、半ば諦めていたので、今回の追加は予想外でした。
さらに、シーン(CLIPの組み合わせ)の数が8(前)から128(後)に激増しました。
かつてSYSTEM-1の音色メモリー数が8から64に増えた時も驚かされましたが、16倍というのは、なかなかペヤングでもお目にかかれない増量ぶりです。
下の列8つのボタンがBANK1-16(ボタンを押すごとに入れ替わる)となり、上の列8つのボタンに記録したシーンを読み出すということで8×16=128となってるわけです。
アップデートの解説書↑があまりにもふわっとした書き方なんで、最初8×8=64と思い込んでしまったじゃないか。
そして、ユーザー・サンプル編集機能が追加されたのも大きいです。
これまでLOOPERのみの機能だったスタートポイント、ループポイントなどの設定、ピッチの微調整がドラムキット、トーンでも可能になり、本体だけでかなり突き詰めた曲作りができるようになりました。
これらの機能追加で、707との大きな差異はトラック数とサウンドのエディット機能、外部アナログ入力の有無のみとなったと言えるでしょう。
エディットについては、この秋発売予定の「ZENOLOGY Pro」を購入すれば、707と(おそらく)同等のことができるはずなので、よほどデカいメジャーアップデートがなければ、これが101の最終形態なのかなと思います。
安い機材でも有償アプリとの組み合わせで上位機種に近づける、というこのZEN-Coreのビジネスモデルはなかなか考えたなと思います。
いやもうRolandさん、AIRAの出だしでこれをやってほしかった!
ただ1.30以降、[C1] ~ [C4] ノブの動きにパラメータが追随しなかったり、プロジェクトの保存時にもっさりするなどかなりアップアップのようなので、その辺り改善頂ければとは思いますが。
やっぱりMIDIキー最高
ここまで機能もサウンドの質も良くなってくると、やはりMIDIキーで演奏したくなるもの。
マスターで使っているのはKORG TRITONですが、あまりにもデカくて重いので、例えばベッドでMC-101と繋いで寝ながら演奏、というのもなかなかシンドいわけであります。
また我が家にいくつかあるMIDIキーはPC接続が必須なので、ちょっとスペース的にも困るわけです。
そこでスタンドアロンで使えて、まあまあ軽いIK MULTIMEDIAのiRig Keys 2proを購入して、MC-101と繋いでみました。
値段のわりに弾きやすい鍵盤と、しっかりと作られたピッチベンド、モジュレーションホイール、そして2キロ未満という軽さ。これならベッドへの上げ下ろしもラクですし、なんとモバイルバッテリーでも動きます。
ノブにもあれこれCCをアサインして、ハードシンセ感を堪能できるようになりました。
某氏家さんのように「ゴキゲン」「バツグン」と口走りながら、しばらくは楽しめそうです。
まあZEN-Core音源入りで外へ持ち出せて、鍵盤も音源もアンプもこれ一台、となれば、こりゃもうJUPITER-Xm早く買えってハナシなんですけどね。