sh101's blog

ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセを語る日々

SYSTEM-1サウンドバンク公開。

Roland SYSTEM-1の話題が続きますが、まぁ仕方ないです。
他のマシンを買って試す時間がないんだもの。

ということで、いつの間にかSYSTEM-1のサウンドパッチが3種類配布されておりましたので、謹んでここに紹介させていただきます。

更新日時は先月27日。たまたまサイトを覗いて気づいた次第です。

システムファイルver.1.12への更新、SH-2やPROMARSの体験版公開など、今年に入りユーザーにとって結構重要なニュースが続いたので、その都度メールでも寄こしてくれればいいのにと思うんですよ。
せっかくのユーザー登録が勿体のうございます。

ちなみに先日お客様センターから届いたSH-2に関するアンケートに回答したら、丁寧な返信を頂戴しました。
なので、アフターケアが良くないということじゃありませんのでくれぐれも。
せっかくのインフォメーションなんだから、もっと積極的に売り込んでいただきたいものです。

閑話休題

今回は3種類×8音、トータル24音のサウンドパッチが配布されています。
それぞれデモ演奏付きの公式動画も公開されています。

個人的に気に入っているのはBank2で、これをメインにエディットしてます。
なお、複数のパッチ名に"Arp"とあるので、K社から出たアレのシミュレート音かと思ったら「アルペジオ」の略のようです(笑)

拙ブログではPLUG-OUTシンセの話題が多いんですが、お聴きのように内臓シンセ自体の出来も相当いいんですよ。
JP-8000を皮切りに、SH-201やGAIAなど、同社から発売された歴代VAシンセの音源部と比較しても遜色ないどころか、むしろ上回っていると思います。
(GAIAのレイヤーまでは真似できないところですが)

筐体の大きさのわりにパラメーター数が多く、しかもパネル操作で音作りが完結することから、最もビギナーにお勧めしたいシンセでもあります。
この価格とサイズでこれだけのモジュレータが使えるシンセはありませんし。

ただ、多くのシンセマニアからは、そのコンパクトな筐体が原因で敬遠されている気もします。

SYSTEM-1の有り様を簡単に言えば、「ArturiaのMINILABみたいな音源+ノブ付きコントローラとこれまでのVAシンセの折衷形」なんですが、DTM寄りに薄型を指向した形状ゆえ、僕のようなハードシンセ愛好家には「襷に短し」という印象です。
個人的には、せめてSH-101並みに、あと半オクターブ分の鍵盤が欲しかったところです。

それとコンパクトさが売りのわりに、内部処理が96kHz固定とハイスペックなため、iPadと繋ぐような気軽な運用が出来ないところにも中途半端なイメージが。

あえてミニ鍵盤で勝負したJD-Xiくらい、割り切ったハード展開もありかもしれません。

いろいろ苦言を呈してしまいましたけど、久々に可能性と愛着を感じるシンセゆえ、さらなる進化をここに祈願するところでございます。

ところで、公式なものか未確認なのでリンクは貼りませんが、先日モジュール化されたSYSTEM-1の画像を見ました。
音源としてのバリューにスポットが集まれば、DTM派にもハード派にもwktkな展開になるかも、と思ってしばらく見守ってみます。

シンセ界にも脱昭和を。

書店でこんな本を見つけたので買ってみました。

先週発売されたばかりのため、KORGから復刻されたARP ODYSSEYや、アナログ1系統を装備したRoland JD-Xiといった新商品が巻頭で取り上げられています。

内容は、ここ数年で発売されたアナログシンセの導入法を中心に、音作りはもちろん、同期のさせ方やDAWでの録り方、またシンセイベントの心得まで書かれていて、ビギナーや「最近シンセはご無沙汰だなぁ」という御仁にも楽しめる一冊かと思います。
またモジュラーシンセにもしっかり誌面が割かれており、マニアも満足できるでしょう。

往年のシンセ教本のような「音の3要素講座」ではなく、ArturiaのMIniBruteやKORG MS-20 miniといった実機セッティングから各パラメータの機能説明を加える「理屈じゃねーんだよ」な実践スタイルは新鮮です。
タイトル通り、21世紀におけるアナログシンセの楽しみ方と言えるでしょう。

著者である大須賀淳さんのお名前に見覚えがあったので思い返すと、以前僕の担当番組に出演されたシンセメーカーREONの荒川伸さんをメインとしたドキュメンタリー映画『ナニワのシンセ界』を撮られた方でした。

もう少し長く担当番組が続いていれば、お声掛けしたいと思っていたわけですが(むにゃむにゃ)、プロフィールによれば大須賀さんは1975年生まれ。
クラブシーンにおいてTR-808TB-303が再評価されて以降アナログシンセに触れた世代のようです。

そのせいかと思いますが、決してデジタルを貶すことなく、アナログならではの楽しみ方を書いていることに好感が持てました。
巻末の対談における「もうアナログでもデジタルでもどっちでもいい」との発言にもある通り、アナログシンセを見映えが良くいい音の鳴る楽器のひとつと捉えてらっしゃるようです。

このジャンルでは「◯◯が愛用していた名機」という文脈を抜けきれず、◯◯への思い入れたっぷりの大きなお友だちのみに支えられている感が強かったんですね。
正直なところ、僕はキース・エ◯ーソンは一枚も聴いたことないですし(汗)
しかし、ここへきてようやく「脱昭和」が訪れたのかなと思います。

大手楽器店では数万円クラスを中心としたコーナーが出来るほど、多くのシンセサイザーが発売されている昨今です。
「マニア向け」から脱して、こうした書籍がたくさん並び、僕の子どもたちが楽器店に集う時代が再び来るといいな、と真剣に願っている次第ですハイ。