sh101's blog

ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセを語る日々

MC-101、最終形態か?

コロナ禍で在宅時間が増えた間に、RolandのMC-101が2度のバージョンアップを果たし、3月の時点とは別物になってしまわれたのでレポートしておきます。

まずは4/6に公開されたVer.1.30から。

クリップ・チェイン機能キター

1.30での大きな追加としては、クリップ・チェイン機能、 [C1] ~ [C4] つまみの機能というところかと。あと、曲まるごとではありませんが、SMFのインポート機能も追加されてます。

クリップ・チェイン機能はCLIPごとに「何回リピートしてどのCLIPに繋げるか」を設定できるもので、発売後から要望の高かったソングモードの代用となる機能です。

そして[C1] ~ [C4] ノブではSINGLE/MULTIの2モードが選べるようになりました。

これまでの[C1] ~ [C4] ノブがトラックに割り当てられていたのが"MULTI"となります。

一方、"SINGLE"は、現在再生またはエディット中のトラックのみに機能します。

つまり選んでいるトラックでカットオフとレゾナンス、ディレイとリバーブのデプスなどを同時に操作でき、よりシンセ的に使えるようになったわけです。

サウンドパックはお薦め

そして緊急事態宣言が解除され、人々の気が緩み始めた6/10、まるでまた家に篭ってなさいと言わんばかりにVer.1.50へのアップデートがやってきました。
1.40をすっ飛ばしてきたということは、アプデがそれなりに大きい証であります。

  • サウンド・パック/ SVZ ファイルのインポート機能の追加
  • シーン数の追加
  • MIDI 入出力機能にパラメーター追加
  • PAD MODE CHORD の追加
  • パラメーターの追加
  • NOTE UTILITY 機能の追加
  • ユーザー・サンプル編集機能の追加
  • ショートカットの追加

目を見張るのは、1月から予告されていたZEN-Coreによるサウンドパック対応です。

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0526872_03.pdf

FANTOMやJUPITER-X系のハードと共通の音色が出せるということで、この予告には非常に期待大でした。

このサウンドパック、Roland Cloud ManagerというPCアプリで「ZEN-Core Sound Pack“SDZシリーズ”」として販売されています。各ジャンルに適した音色が1パックあたり30前後収められています。

各パック0.99ドルで1音あたり3円くらいですね。 10種類を一気買いしても日本円で1,000円ちょっとです。

ちなみに各パックのデモは下記から聴けます。

デモ曲の完成度はなかなか高く、なんならミニアルバムとしてBGMに流すのも全然ありですが、パックを入手してから改めて聴くと「もしかしたら自分にも作れちゃう」感が高い曲ばかり。なかなかこういうデモには出会えません。

無論MC-101では作られてないでしょうが、パートのバランスなどは大いに参考になると思います。

さて、アプリ上で決済を済ませたら、まずPCにダウンロード。
そしてMC-101のSDストレージ[ROLAND]直下に[SOUND]フォルダを新規作成し、そこへ各フォルダをコピーすればOK。

本体の音色セレクトで、[PRESET]などに並び、新たにできた[SOUND FILE]からそれぞれのサウンドパックを選び、各音色を選択します。

もともとプリセット音の出来もいいのですが、パックではおそらく4つのパーシャルをフルで使ったと思しきサウンドが多く、ホントにこんな小さなハコから鳴ってるのか、と感心することしきり。

貧乏臭い感想ですが「上位機種と同じ音が鳴る」というのはこういうことなのかと身に染みます。MC-101は税抜き5万切りますからね、何しろ。

メジャーアップデートでしょコレ

そして1.50で変わったことはこれだけじゃございません。
まさかのPAD MODE CHORDの追加です。

13のパッドそれぞれにルート、スケール、展開の異なるコードを設定できます。

ハードの制約が多いMC-101だけに、コードモードは最も付けてほしかった機能でしたが、半ば諦めていたので、今回の追加は予想外でした。

さらに、シーン(CLIPの組み合わせ)の数が8(前)から128(後)に激増しました。
かつてSYSTEM-1の音色メモリー数が8から64に増えた時も驚かされましたが、16倍というのは、なかなかペヤングでもお目にかかれない増量ぶりです。

下の列8つのボタンがBANK1-16(ボタンを押すごとに入れ替わる)となり、上の列8つのボタンに記録したシーンを読み出すということで8×16=128となってるわけです。

アップデートの解説書↑があまりにもふわっとした書き方なんで、最初8×8=64と思い込んでしまったじゃないか。

そして、ユーザー・サンプル編集機能が追加されたのも大きいです。

これまでLOOPERのみの機能だったスタートポイント、ループポイントなどの設定、ピッチの微調整がドラムキット、トーンでも可能になり、本体だけでかなり突き詰めた曲作りができるようになりました。

これらの機能追加で、707との大きな差異はトラック数とサウンドのエディット機能、外部アナログ入力の有無のみとなったと言えるでしょう。

エディットについては、この秋発売予定の「ZENOLOGY Pro」を購入すれば、707と(おそらく)同等のことができるはずなので、よほどデカいメジャーアップデートがなければ、これが101の最終形態なのかなと思います。

安い機材でも有償アプリとの組み合わせで上位機種に近づける、というこのZEN-Coreのビジネスモデルはなかなか考えたなと思います。
いやもうRolandさん、AIRAの出だしでこれをやってほしかった!

ただ1.30以降、[C1] ~ [C4] ノブの動きにパラメータが追随しなかったり、プロジェクトの保存時にもっさりするなどかなりアップアップのようなので、その辺り改善頂ければとは思いますが。

やっぱりMIDIキー最高

ここまで機能もサウンドの質も良くなってくると、やはりMIDIキーで演奏したくなるもの。

マスターで使っているのはKORG TRITONですが、あまりにもデカくて重いので、例えばベッドでMC-101と繋いで寝ながら演奏、というのもなかなかシンドいわけであります。

また我が家にいくつかあるMIDIキーはPC接続が必須なので、ちょっとスペース的にも困るわけです。

そこでスタンドアロンで使えて、まあまあ軽いIK MULTIMEDIAのiRig Keys 2proを購入して、MC-101と繋いでみました。

値段のわりに弾きやすい鍵盤と、しっかりと作られたピッチベンド、モジュレーションホイール、そして2キロ未満という軽さ。これならベッドへの上げ下ろしもラクですし、なんとモバイルバッテリーでも動きます。

ノブにもあれこれCCをアサインして、ハードシンセ感を堪能できるようになりました。
某氏家さんのように「ゴキゲン」「バツグン」と口走りながら、しばらくは楽しめそうです。

まあZEN-Core音源入りで外へ持ち出せて、鍵盤も音源もアンプもこれ一台、となれば、こりゃもうJUPITER-Xm早く買えってハナシなんですけどね。

KORG NTS-1をナメてました。続き。

ということで、まだまだ新型コロナの状況に余談を許さない中、NTS-1を弄るワタクチです。

前回は単体で遊び倒したわけですが、リアパネルにはUSB端子の他、volcaシリーズでおなじみのSYNC、MIDIに加えオーディオインまで並んでおります。

おいコレ、本当に税抜き1万円かよと疑うレベルです。
そもそもがボードということをさておいても「拡張性の塊」と称賛したくなるNTS-1、何か繋いで見ないともったいなくて気が済みません。

まずは最近のお気に入りマシンであるRoland MC-101とMIDIで繋いでみます。

NTS-1のMIDI端子は同社のシーケンサーSQ-1と同じステレオミニ仕様。持ってない方は別途購入となります。
この手のケーブルを店頭に置いてる店もないし、本体が安いのだから1,000円上乗せでも付属してれば、とは思いますが。

amazonを探せば安いケーブルもありますが、こちら辺りが手堅いと思うので紹介しときます。

そしてNTS-1にはオーディオインもあるので、MC-101からのアウトをぶっ込んでやります。

ちなみに入力音声をOSCとしてフィルターで弄ったりすることはできません。
その代わりエフェクト前、マスター前後に内部ルーティンを切り替えることができます。

MOD、DELAY、REVERBの手前に設定すればエフェクターとして機能させることが可能ですが、今回はあえてマスターの後ろに設定してみました。

REVERBボタンを押しながら電源を入れ、TYPEノブを回してInput routeを選択。Bノブで値を4にします。

MC-101側のボリューム設定とNTS-1側のインプット・トリムを設定してやれば、NTS-1のボリュームダイヤルは本体シンセ+エフェクトの音の上げ下げのみに機能します。

つまりは、ミキサー不要で2台のサウンドをミックスできます。
音質的にも問題なし。これは有能。

チャンネル設定してMC-101のシーケンスをNTS-1に流し込んでもいいんですが、せっかくアルペジエイターがあるので、ここはテンポ同期だけで。

あとはMC-101で作り込んだトラックに合わせ、アルペジエイターを鳴らすだけ。
エフェクトのノブをウニョウニョとさせるだけでなかなかにトビます。

ユーザー製のサウンドやエフェクトの取り込みについては、また次の投稿で。

KORG NTS-1をナメてました。ごめんなさい。

新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っております。
なんだか評判の悪いWHOが"COVID-19"と命名したそうですが、海外の新鋭メーカー製19音ポリシンセにしか思えないのは何かのお病気でしょうねお大事に。

さて名古屋くんだりでも不要不急の外出を控える人たちが増え、ワタクシも「週末に何か集中できることを」という大義名分のもと、KORGNTS-1を購入してまいりました。

実は今年1月に品切れ状態だったのと、RolandのMC-101に夢中ですっかり忘れてたんですけどね。
発売から半年近くも経ってのレビューに意味なんかあるのでしょうか。

まあ、それはさておき。
ご存知でしょうが、このNTS-1はDIYキット、つまり完成品ではなく、自分で組み立てるシンセです。
工具(ドライバー)も付属しているので、必要なのは一枚成形のパネルをパキッと分割できる腕力のみという親切仕様です。

ワタクシの場合、全て組み上げた後に、サイドパネルがパカパカして落ち着かないことこの上なし。

ネジを全て外してみたら、四隅の金属パーツとサイドパネルの留め方を完全に勘違いしていたことがわかり、最初の工程から組み立て直す羽目に。
誰でも簡単に作れるものすら失敗するとは、不器用にも程がありますね。

そんな事情で完成に30分を要してしまったので、本来なら20分もかからず仕上がるんでしょう。

久々にmonotronを引っ張り出して並べてみました。
「アナログの復権」をテーマにmonotronが発売されて9年、まさかVAシンセにリボンコントローラーが再活用されるとは。

鳴らしてみたところ、想像以上にすごい音がします。
エフェクトの功績も大ですが、税抜き1万円とは思えないゴージャスな出音です。
どこまでも果てしなく伸びるリバーブは、なかなかお耳にかかりません。
ブラインドテストで価格当てクイズなんか開催してみたいものです。

OSCモードはShape可変のノコギリ波、三角波矩形波に加え、VPM(Variable Phase Modulation)とユーザー・オシレーターから選べますが、VPMがとにかく面白い。

AノブとBノブの組み合わせがFM音源でいうところのキャリアとモジュレーターで、サイン波から、ノコギリ波風の太い低音、金属音まで幅広いサウンドが得られます。
マニュアルではなぜか「パルス波」と書かれてるのが不思議。

LFOはPitchまたはShapeにかけられ、PWMも作れます。

FILTERモードには3タイプ(LPF/BPF/HPF)あり、それぞれに2ポール/4ポールを選択可。オフにすることもできます。
モジュレーションはLFOのみで、エンベロープがないのは惜しいところですが、その分ノブコントロールで遊びましょう。

EGモードはノブでアタックとリリースのみ弄れますが、5種類のタイプから選べるので困ることはないかなと。
珍しいのは"AR loop"で、セッティング次第でスライサー的なサウンドが作れます。
LFOトレモロが作れるのは、この価格帯では珍しいかも。

そして前述のエフェクトは3系統。
MOD(コーラス/アンサンブル/フェイザー/フランジャー)、DELAY(ステレオ/モノ/ピンポン/ハイパス/テープ)、REVERB(ホール/プレート/スペース/ライザー/サブマリン)と種類も豊富。しかもクオリティもかなり高いです。

特にリバーブは近年稀に見るビシャビシャ加減なので、印象に残るワンショットが作れそうです。

この価格帯でリバーブ搭載なんて、30年前の自分に聞かせたら驚くでしょう。ま、謎の新ウイルスでパンデミックの方がインパクトは強いでしょうが。

アルペジエイターはすでにvolca FMなどにもありましたが、リボンコントローラーを弾きこなすのはあまり現実的ではないので、volca以上に活躍しそうです。


NTS=Nu:Tekt Synthesizerの略称、みたい

なお、USBジャックから通電があれば電源ON。オフにしたい時はケーブルを引っこ抜く粗暴さがたまりません。
本体には音色メモリなどなく、作り込んだサウンドも電源を落とせばサヨウナラ、というのもVAシンセでは異例ですね。

さて、ひと通り単体で使ってみた印象ですが、これまでのKORG製ガジェットと違って遊びがない感じ。
もちろん悪口ではなく、値段相応の中に超高速LFOを混ぜちゃうような「一点狂気主義」が特徴だった従来製品とは違い、音質然り機能然り、ちゃんと単体のシンセとして完成されていることに驚きました。

つまり、本来の「コスパ」という意味で最強かと思います。

例えば10万円のシンセがあって、その機能の1/5が使えるガジェットが作られたとして、2万円で販売されることはほとんどないでしょう。
価格は筐体の組み立てだのパッケージだの、あるいはロットだの、機能とは関係のないコストで決まります。

しかし今回のNTS-1については、コストを抑える努力がそこかしこに見えてもなお、価格の倍以上に価値のあるいいシンセだと断言できます。
まあ騙されたと思ってぜひ。

ちなみにユーザー音色やエフェクトはまだ試してないので、また後日。

MC-101、その後。

購入してから2ヶ月経つわけですが。

寝る前の30分、1シーン分(1クリップ×4トラック)作って、数分ほどSCATTERでそのシーンやクリップを弄って満足したら「さあ寝るか」という日課
日夜「20200213」に代表される、味も素っ気もない名のプロジェクトを量産しております。

就寝前30分というのは、人によってはヨガに励んだりバランスボールに乗ったり、ハーブティーでリラックスしたり、泥パックでお肌つるつるにしてみたり、ツイッターエゴサで血圧上げたり、5ちゃんねるに書き込んだ罵倒コメントが住人に論破されて痛飲したりと、使い道はそれぞれですが、MC-101で1シーン作るにはちょうどいい塩梅です。

ただ、本音を言えばこれらが曲になりにくい、いや正確に言えば曲として広げにくいというのは悩ましいところ。
ソングモードやチェインがないため、次の展開を作ろうという気力に至らないのがその理由であります。

そのおかげで自作"曲"として完成させたものをYouTubeなりSoundCloudにアップできないというのが実情であり、もし僕が突然この世から消えると、近年は断片しか作れなかった人扱いになります。いや、実際断片なんだけれども。

さて、1ヶ月ほど前のハナシで恐縮ですが、ローランドのサイトにこのようなページが出現しました。

要するにMC-101/707の音源であるZEN-Coreシステムを用いて、FANTOM-6/7/8、JUPITER-X/Xmと音源が共有化できますよ、というハナシです。
MC-101/707には夏までに(たぶんサウンドパックという形で)供給されるとのこと。

そもそもMC-707で作り込んだ音をプロジェクト経由でMC-101へ取り込むことができていたわけで、FANTOM/JUPITERも同じZen-Core音源なら、そんなこと簡単じゃないの?と思ってましたが、改めて上掲のように公式アナウンスされると、いやがうえにもテンション爆AGEってもんです。

無論、JUPITER -X/XmやFANTOMはそれぞれZen-Coreの他、機種独自の音源方式も併用しているので、まるっきり一緒の音が出るわけじゃないと思います。
が、少なくともMC-101/707は他機種でも同じサウンドが鳴らせるわけです。

となると、MC-101しか持っていないワタクシのようなZen-Core最下層民は、音作りができる707だのFANTOMだの、他社製品には目もくれず上位機種購入を検討していくわけで、こりゃRolandさんの燃える商魂に一本取られたなガハハ、という次第です。

それはさておき、ちょっと困ってること。

リアルタイムでパッド演奏を記録し、それをエディットできるのは良いんですが、唯一まいってるのはLENGTH。
解像度が1/16の場合、4分音符(5ステップ)より長いノートを弄ると、4.99(ステップ)より長く伸ばせなくなります。無念なり。

他にも細かいことはあるんですが、なまじ音がいい上に選択肢も異常に多く、さらに夏に向けてサウンド増量の予感大なところでエフェクトに凝り出すと、就寝前の30分があっという間に2時間に膨らみ、少なくとも年内は寝不足じゃないのか俺は、というのが実は最大級の困りごとなのであります。

KORG、世界戦略進行中?

かねてより動向が注視されていたPioneer DJですが、今年になって社名を変更しました。

https://www.pioneerdj.com/ja-jp/news/2019/alphatheta-pioneer-dj-corporate-name/

そうですか…
「AlphaTheta株式会社」、なるほど。

買収云々についてはリサーチできませんでしたが、ひとまず"Pioneer DJ"などのブランドは残るようですので、愛好家の皆様もひとまず安心というところでしょうか。
TORAIZにも後続商品を何とぞよろしくです。

そんな激動を予感させる2020年の幕開けですが、いよいよ16日から、世界の好事家大興奮のイベント"NAMM 2020"がスタートします。

ここで各メーカー、どんな新製品を公開するのか注目が集まる中、早速KORGさんはこのシンセサイザーを発表しました。

ウェーブシーケンスといえばWAVESTATIONですが、斬新なUIが記憶に新しいiOSアプリ"iWAVESTATION"に続き、ついハードとしても後継者の登場となりました。

昨今のメーカーのデモムービーだとリズムトラックが入ってたりして、いったいどこまで1台で作れるのか不明瞭なのですが…。
デジタルシンセ最高潮の頃に生まれた先代とはまるで異なり、minilogueの延長線上と思われるノブたっぷりのデザインで、リアルタイムに弄れまくれる予感濃厚です。

カリフォルニア発、KORG R&Dが開発

なんだ日本製じゃないのかという声もありそうですが、元祖WAVESTATIONを作ったのもKORG R&D社だとか。

KORGと言えば、同社のアナログ復権の立役者・高橋達也さんが、なんとドイツ法人のCEOとしてカムバックされた、という吉報もありました。

コルグ・ジャーマニー。
ドイツの老舗感満点で、思わず声に出してみたくなるじゃないですか。

カリフォルニアといい、ドイツといい、着々と世界征服を実現されているようで何よりです。

なんというか各国にすごい幹部がいて、大首領はドイツ支部に、みたいなショッカー的世界観を妄想してしまいますね。

こうなると南米支部や中近東支部の頑張りにも期待したいところであります。

Roland MC-101で初アップ

なんだかんだで購入から2週間経っちゃったんですが、AIRA SYSTEM-1と繋いでみたり、プロモーションビデオのようにドトールへ持参してアイスコーヒーのグランデを煽りつつ30分ほど遊んだり、出張先へ携行して移動の車内やホテルで堪能したりと、まあ程々にいい歳こいて遊んでました。

MC-101においては、習うより慣れろ、の精神が大切でございます。

で、ようやくCLIPのプレイにも慣れたところで動画にしてみました。
適当なカメラがないので、ビジュアルはiPhoneに入れたSTAELLAで。

音源はすべてのものですが、今回はラウンジ調で攻めてみたくなり、あえてPCM系で揃えました。

ザ ・EDMみたいなトラックの方が効果がわかりやすかったかもしれませんが、まあその手の動画は多数アップされてると思いますので、各自で探しておくんなさい。

どのトラックも1クリップだけ使い(ドラムのみパートミュートで2クリップ使用)、MFXでBPM Looperをオンオフしたり、バージョン1.20で使えるようになったリバース/ランダム再生を使ってみたり、SCATTERを適当に作動させただけの一発録りです。

締まらないまま終わりましたけど、まあテストなんでご勘弁を。

MC-101との初夜が明けて…

そんなわけで、前回のあらすじを簡単にまとめると「MC-101と寝ちまうぞこのヤロー」でした。

今回は実際に寝ながら鳴らしてみた印象を、ダラダラと書き殴っていきましょう。


❶音がいい

唐突に書きましたが、これは本当です。

ただし、アナログガーと言う方には早めにご退室いただいた方がよかろうと存じます。

例えば僕が所有するTORAIZ AS-1と並べて、MC-101のトラックのどれかひとつを鳴らして「どちらがお好みですか?」と尋ねたら、街角の奥様の多くが、低音から高音まで芯のあるAS-1の方を選ぶでしょう。

しかし忘れてはならないのは、MC-101では複数のトラックを重ねて使用することです。

AS-1は単体で聴けば本当に素晴らしいサウンドですが、これだけでトラックを組み立てていくと、あまりの音圧に引き算を始めなければならなくなります。
映画でも主役クラスが何人も出ると、監督としてはたいてい苦労するものです。

この点、MC-101の音は総じてバイプレイヤーズです。
昨年亡くなられた大杉漣さんや松重豊さんのように主演を務めることもありますが、集結によって作品に生まれる安定感はただならぬものがあります。

MC-707なら漁船に乗った菅原文太さんが「時代はパーシャル!」と叫ぶほどに重厚なサウンドを作り出すこともできますが、101は端的に言って「ちょうどいいサウンド」です。

まさか101をMIDIピアノに繋いで、ピアノ波形だけで「もしもピアノが弾けたなら」を歌う猛者はいないと思いますが、リズムやベースを混ぜた時のバランスの良さ、オールラウンドぶりは見事だと思います。

思えば、半世紀前に界隈を席巻したあの「M1 PIANO」も、「もしもピアノが弾けたなら」を歌うにはあまりにも不甲斐ないサウンドでした。
しかしTB-303のグライドやTR-909のグラウンド・ビートと合わせて初めて「ハウスと言えば」の代名詞を冠したわけです。

PCMだから、アナログだから、VAだからと判断する人は可哀想だなと、高いところから失礼します。

つかですね、3,000もあってWAVファイル放り込み放題では、毎日オーディションを続けてもクランクインできないのであります。

❷犠牲になった操作性

もうね、「習うより慣れろ」という言葉がこれだけ相応しい機種もなかなかありません。
たかがトラックの小節数ひとつ変えるにも、リファレンスPDFを取り込んだiPhoneが欠かせないほど、ボタンのコンボ技が多いのですよ。

入力もなかなかに大変です。
DRUMトラックはともかく、TONEでのステップレコーディングでは、一音ずつSEQとNOTEの切り替えを伴う重労働に苛まれ、いま何ステップ目のどの音階を入力中なのか記憶が途絶え、路頭に迷うこと間違いなしです。

無論、入力するたびにステップが自動的に進む「ステップ・インプット・モード」、あるいはver1.20から追加されたメトロノームに合わせ、パッドのリアルタイム入力といった他の入力法もあります。

ただし、このパッドも早いフレーズを弾くには辛いクッション性があるので、MIDIキーボードが不可欠かと思います。

専ら枕元で使う僕にとって、止む無しと言えるところではありますが…アルペジエイターがあれば、また印象が違ったのかと。

❸それでも広がる夢想

4トラックというところに限界を見ている人も多いでしょう。

しかしLOOPERトラックには、MIXOUTが録音できるのです。
録音が済んだら、消去した3トラックに別のTONEで別のフレーズを入力すれば、これで6トラック分の音になります。
これで足りなければ、さらにLOOPERトラックを増やして録音すればいいのです。

そぉ。これ、MTRにおけるピンポン録音と同じ。
特定の世代には「わかるわかる」というヤツです。

今やDAWでどこまでも作り込める時代ですが、MC-101の低価格ゆえに生まれた制約は、知恵でなんとかなるんではないかと思います。
UNDOこそできませんが、都度PROJECTを残しておけば、LOOPERトラックを作る前に遡れますし、まあスペックだけで可能性を軽視するのはもったいないハナシです。

❹SCATTER最高

AIRA最大の売りであるSCATTERですが、本機の場合、すべての欠点を補って余りある功績を果たしてくれます。

わかりやすく言えば「オレの陳腐なフレーズをスクエアプッシャー様がリミックスしてくださった!」とまあ、そんな感じ。
クリップ1個作れたら、もうSCATTERだけでお腹いっぱいになりますし、飽きたら自分で効果をエディットできますし。

それと、DRUMトラックにおけるMTEが素晴らしい。
MTEは発音される確率を設定するパラメータで、打ち込んだ一音に対して数値を50とすると、50パーセントの確率で鳴ったり鳴らなかったりします。
これが特定パートの特定ステップごとに設定できるんですな。

延々とループさせることが前提の本機の場合、フレーズに不確定要素を加えられるというのは頼もしい限り。特にドラムンベース系の裏拍で、SUB(サブステップ)と併用すると抜群に面白いです。

ちなみにハードウェアでは、今年発売されたKORGのvolca drumにも同様の機能があります。今後のマスト機能になるかもしれません。

ひとまず、MC-101との初夜を乗り越えた感想をお伝えしました。