ようやく買えた volca keys(KORG)
精算業務に追われるうちに買いそびれていた、KORGのアナログシンセvolca keysを入手した。
担当番組で特集して半年も経っていた。いかんいかん。
KORG コルグ シーケンサー内蔵 アナログ・リード・シンセサイザー volca keys ヴォルカ・キーズ
- 出版社/メーカー: KORG
- 発売日: 2013/07/13
- メディア: エレクトロニクス
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同社から3年前に出たモノシンセ+アナログリズムマシンという仕様のmonotribeを気に入って使っていたのだけど、次はシンセ2台乗せのオールインワンタイプかな、と妄想していたら、逆に役割を分けた単体機3台という意外な結果に。
ただ、それだけに新機能も充実していて、とりわけMIDI IN装備というのはものすごく嬉しい。
そしてmonotribeにもあったSYNC端子、これも我が家のクローゼットで化石化寸前だったRoland MC-202に繋いでみたところ、20数年振りのセッションにも関わらず、ぴったりシンクしてくれた。
最近ギターを弄ってないおじさんが、息子の演奏に感化されて久々にジャムったりして「どうだ、父さんもまだまだイケるだろ」とご満悦な感じぃ?いや、なんだ感じぃ?って。
インターフェイス的に使えて、なおかつMC-202の内蔵シンセを凌駕するド派手サウンドも作れて、なおかつ3音ポリで、カバンに入って乾電池で駆動しちゃって1万円台というのはなかなかに凄い。
「アナログポリフォニックシンセ」という14文字の凄みと重みですよ、おっちゃん達にとっては。
もちろんポリシンセと言えど難点はあるのだけど(MIDIキーボード接続時の発音タイミングがちょいと変、など)、かつてのポリシンセ様の価格が軒並み7桁だったことを知る身としては「いいじゃん別に」と流せる範疇である。
それにしても、このvolcaシリーズ、1台持つとbassもbeatsもフルコンプしたくなる。
もうこれは、30年ぶりのX'ART現象である。わかる人だけわかればよろしい。
MC-202(Roland)
今回のエントリは、前回少し触れたRoland MC-202についてでござる。
1983年春、ちょうどYMOがアルバム『浮気なぼくら』をリリースした頃、このマイクロコンポーザーMC-202は発売された。価格は69,800円だったと思う。
ポリフォニックシンセに続き、プロにしか持ち得なかったツールが降臨した、ということで広告を見て身悶えした。
2チャンネルながらモノフォニック・シンセサイザー1台を搭載し、2000ノート超を打ち込めて、B5ノート大で軽く乾電池で駆動しちゃうという、なんかvolca keysの記事でも書いた気がする、当時としては超CPの良い(最近はコスパとすら書かないそうで)マシンでございました。
僕がこのMC-202を手に入れたのは、発売から2年後のこと。
近所の電気店のお兄さんが「デジタルシンセを買ったから要らなくなった」と、2万円で売ってくれたのだ。
まさに「渡りに船」だったわけだが、この85年前後というのは、ニューウェーブ最前線を駆け抜けてきたアナログシンセ一派が白旗を揚げながら投降し、将来有望なデジタル派に寝返った時期だ。
家電店のお兄さんにとって、僕は遅れてきた少年だったのだろう。
「俺はこの街を出る。形見として持っていてくれ」
お兄さんはそんな思いで僕にMC-202を託したに違いない。
ちなみに当時のカタログでは搭載されているシンセが同社のSH-101と同等、と書かれていたけど、モジュレーション系など一部が省略されていて、エグい音は出せなかったので念のため。
むしろこのマシンの核は、TB-303同様グライドが入力できたり、テンキーによるステップ入力でMC-4感を満喫したり、先に鍵盤状のボタンでノートだけ打ち込んでおきタップでリズムをとるなど、様々な入力方法が楽しめるシーケンサー部だったように思う。
結局、翌年には僕もヤマハのDX21を手に入れ、デジタル教に改宗してしまったものの、MC-202のコンパクトさが好きで手元に残しておいた。
まさか30年近く経って、最新のシンセと繋ぐことになるなんて想像もしていなかったけれど。
DDM-110(KORG)
今回はドラムマシンDDM-110について。
ヤマハのXシリーズが世に出て、間もなく2年というタイミングというのに。
先回も書いたが、当時はアナログからデジタルへ、地デジ移行のような心理的圧力があって、お金のないティーンは相当困惑させられた。
とりわけ、個人的なデジタル化の衝撃はFM音源にではなく、PCMドラムマシンにあった。
ヤマハの販促イベントX-DAYで耳にしたRX-11のスネアサウンドは今でも忘れられない。
そんな中、DIN端子を携えて登場したDDM-110は救世主のような存在だった。
経済的な事情でデジタルシンセに移行できない人たちの多くは、アナログシンセを核に、RolandのMC-202やTR-606など、ひとケタ万円台の機材を手に入れてシステムを拡張していたように思う。それなりにニーズはあったのだ。
(ちなみに今でこそ高値のベースマシンTB-303は当時かなり奇異な機材で、持っていた人に会ったことがない)
お金があってMIDIでバリバリやりたい向きはXシリーズで統一しとけと、弱きを助け強きをくじく的な。
そんな心意気は現在のKORGにも感じられる。
もちろん安さは、残酷なまでにサウンドにも反映する。ビットが荒くディケイの短いPCMサウンドは、ヤマハ製のクオリティとは程遠いものがあった。
とは言え、妙に圧のあるリムショットはこのマシン独特のもので、僕はスネア代わりに多用していた。
安くてもデジタル、荒くてもPCM。
DR-55(BOSS)
僕にMC-202を譲ってくれた電気店のお兄さんから3千円で売ってもらった。
これ、本当にいい音がしてたんだよねぇ…なんで手放しちゃったんだろう。
ちなみに「いい音」というのは、味のある音ということね。
間違ってもビンテージ市場で高騰させる類のマシンではありません。
スネアの「ポスッッッ」って感じが今となっては愛おしくさえ思えるのであります。
サウンド的に作りやすかったのかな。
で。このDR-55、1万円と廉価なわりに実は歴史に刻まれるべき偉大なマシンなのですよ。
プリセットパターンを選ぶだけなのが当たり前だった1980年、自分でパターンをプログラムできるリズムマシンとして登場したのがこのDR-55でございまして、親会社RolandのTRシリーズの祖先とも言えるマシンなのです。
黒地にオレンジのロゴというカラーリングはTR-808に直伝されたようで、つーことは、こちらの機種の曾祖父さん的な存在でもあるかと。
KORG コルグ シーケンサー内蔵 リズムマシン volca beats ヴォルカ・ビーツ
- 出版社/メーカー: KORG
- 発売日: 2013/06/23
- メディア: エレクトロニクス
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オトナになり偉い人に連れていってもらった「バー」という社交場で、DR-55と再開したことがある。
「飲み代と同額で譲ってもらえませんか!」と言いそうになってやめましたが。