パール兄弟とつボイノリオと私(追記あり)
11/6に名古屋今池のライブハウスTOKUZOにて、二人パール兄弟(サエキけんぞう&窪田晴男)のライブがありました。
学生時代、パール兄弟や、ご著書を通じてサエキけんぞうさんを師と仰いでいたワタクシ。
特に名盤レビューなどをまとめた『ヌードなオニオン』(河出書房新社刊)からは、音楽のみならず物事を斜めに見る楽しみを学びました。
なんやかんやで20年ほど経ち、すっかり中年となったワタクシは、職場のスタジオでサエキさんに出会ったのです。
ファンぶりを知っていたディレクター女史によって、つボイノリオさんの番組にゲスト出演されたサエキさんに挨拶させていただく機会を得た次第です。
実はサエキさん、僕がインタビューと構成、注釈等々を担当した書籍『つボイ正伝』(扶桑社刊)を読んでくださっていました。
- 作者: つボイノリオ
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2008/12/19
- メディア: 単行本
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職場にはライター業などやるセクションもルールもないのですが、先輩のアナウンサーで出版されている方も多く、前例から「書いてよし」という流れで生まれた書籍です。
プロアマの違いはあれど、つボイ研究をフィールドとする師弟としてお付き合いいただくことになりました。
その後、東京支社スタジオでプロデュースしたラジオ番組にも数回ご出演いただいたこともあります。
4年前にTOKUZOでつボイさんを招いてライブを行ったサエキさん、今回はなんと窪田晴男さんとの「二人パール兄弟」で、つボイさんが特別ゲスト。
サエキさんから直接お誘いいただき「これ以上の俺得がどこにあるんだ」ということで足を運ばせていただいた次第です。
「金太の大冒険」という必殺のロングセラーを持つつボイさんですが、2006年からiTunesで4つの新作(新録音)を発表しています。
実はこれらの曲、つボイさんから見てシモネタ耐性が強く近場で安く使えるワタクシがアレンジをさせていただいてます。
当ブログ的なことを言うと、ほぼ全て(カオシレーターを除き)KORGのTRITONで作りました。
その中で、最も話題となったのがこの曲。
勇者マンコ・カパックが、部族同士の戦いを制してインカ帝国を成立し、初代の王となるまでを描く、7分超の大作であります。世界でも珍しい、音楽版RPGとも言えましょう。
つボイさんの「あのぉ、ペルー音楽みたいなアレンジで行きたいんですよ」のひと言で、慌てて身重の妻にフォルクローレのオムニバス(2枚組で1,000円)を買ってきてもらい、気に入った楽曲をいくつか聴き込んで構成を組み立て、なんとかそれらしく仕上げました。
iTunesが日本でサービスを開始しておよそ1年後の2006年9月、妻の臨月にリリースされたこの曲は、ワールドミュージックのカテゴリーで1ヶ月連続のデイリー首位となりました。
「吉田松陰物語」以来30年ぶりの、つボイノリオ・アカデミック路線、そしてマンコへの想像を絶するバイオレンス描写、マンコの男気、壮絶な戦いから国を興し「王マンコ」として慕われるまでの人生が大きな話題となりました。
さらに13年後のこの日、アレンジの師として一方的に勝手に尊敬していた窪田晴男さんの素晴らしい演奏によって、ワタクシの書いたイントロのメロディが再び蘇ったのでした。
高校時代から学生時代を支えてくれたパール兄弟と、一介のサラリーマンの自分にクリエイターとして機会を授けて下さったつボイノリオさん。
人生の大きなふたつの点がひとつに繋がった瞬間であります。
こんな幸せなことがあるでしょうか。
みんながひれ伏すマンコ 王マンコ
みんなが大好きマンコ 王マンコ
実はこの最後のフレーズ、つボイさんが締めに困っていたので、アイディアを出させていただきました。
その記憶を辿りながら、窪田さんたちの素晴らしい演奏を聴き終えると、あまりの感激に涙を流しておりました。
おそらくこの曲を聴いて感涙まで至ったのは、世界広しと言えど、ワタクシくらいのものでしょう。
長生きして良かった(50歳)。
改めて、お招きいただいたサエキけんぞうさんに感謝いたします。
(追記)
僕が「インカ帝国の成立」の性交成功で調子に乗り、当時の編成デスクに取り入って生まれて初めてディレクションした番組が、まだニコ動に残っていましたので、謹んで紹介いたします。