DDM-110(KORG)
今回はドラムマシンDDM-110について。
ヤマハのXシリーズが世に出て、間もなく2年というタイミングというのに。
先回も書いたが、当時はアナログからデジタルへ、地デジ移行のような心理的圧力があって、お金のないティーンは相当困惑させられた。
とりわけ、個人的なデジタル化の衝撃はFM音源にではなく、PCMドラムマシンにあった。
ヤマハの販促イベントX-DAYで耳にしたRX-11のスネアサウンドは今でも忘れられない。
そんな中、DIN端子を携えて登場したDDM-110は救世主のような存在だった。
経済的な事情でデジタルシンセに移行できない人たちの多くは、アナログシンセを核に、RolandのMC-202やTR-606など、ひとケタ万円台の機材を手に入れてシステムを拡張していたように思う。それなりにニーズはあったのだ。
(ちなみに今でこそ高値のベースマシンTB-303は当時かなり奇異な機材で、持っていた人に会ったことがない)
お金があってMIDIでバリバリやりたい向きはXシリーズで統一しとけと、弱きを助け強きをくじく的な。
そんな心意気は現在のKORGにも感じられる。
もちろん安さは、残酷なまでにサウンドにも反映する。ビットが荒くディケイの短いPCMサウンドは、ヤマハ製のクオリティとは程遠いものがあった。
とは言え、妙に圧のあるリムショットはこのマシン独特のもので、僕はスネア代わりに多用していた。
安くてもデジタル、荒くてもPCM。