sh101's blog

シンセとラジオの40数年。

TORAIZ AS-1とProphet-6を較べてみた。

引き続きPioneer DJ TORAIZ AS-1の話題。今回はサウンドについて、ちょいと具体的に書きます。

この動画でもわかるように、AS-1はDave Smith Instruments社が2015年に発売した6ボイスのポリシンセProphet-6をベースに開発されたモノフォニック・シンセです。


まあ、どう見てもルックスの違う両者ではありますが。

AS-1ではノブの数を最小限に絞ってあるため、細かなエディットで階層を掘っていく必要があるのは前記事にある通り。

で、最初はKORG MS-20と同社のmonotronのように「フィルター回路が同じ」だけの関係なのかな、と思ってたわけです。
実際「AS-1のフィルターはProphet-6と同じもの」との記事がいくつもありましたし。

ところが取説を片手に階層を掘ったところ、初めて目にする"SLOP"なんてセクションがあるわ、HPFにはノブに出てないレゾナンスがあるわで、「ちょっと奥さん、これどういうこと!?」と声を荒げそうになってしまいました。

そこでパラメータの全貌を知るため、AS-1用サウンドエディターをPCに入れてみました。

http://www.soundtower.com/toraiz/

その画面キャプチャーと、Prophet-6のフロントパネル画像を部分的に比較してみた図がこちら。

細かくてすいませんねぇ。

左列がAS-1、右列がProphet-6で、上からOSCILLATOR、FILTER、ENVELOPE、MODULATION、EFFECT、LFOARPEGGIATOR&SEQUENCERの各セクションを並べております。

驚きました…ほぼ同じやんけ。

AS-1のEFFECTにリバーブがないなどの細かい差異はあるけれども、それ以外はまったく同じパラメータが並んでおります。
しかもセンターが±0となるノブまで同じ。

こちらの記事によれば、Pioneerさん曰く「Prophet-6をある程度ベースにしつつ、艶っぽい音はそのままにさらにエッジのたったようなサウンドに仕上げています」とのことですが、いや、まさか構成がパラメータレベルで同じとは…

つまるところ、モノシンセとして音が立つよう、なおかつ部品がコスト的に調整されているということでしょう。価格差が大きいですから、なにしろ。

もうちょっと僕がお金持ちなら、両者の出音をオシロスコープに通して「いやあ、ここは似てますなあ」などと腕組みする自撮り動画をアップしたいところですが、残念ながらそれは無理です。

それにしても、Prophetシリーズの伝統である「ポリモジュレーション」まで受け継がれているのはすごい。
この場合の「ポリ」とは発音数を指すんじゃなく、モジュレーションソースがFILTERエンベロープのみならず、OSC2でもOSC1やフィルターを複雑に変調できるってことね。

こんな貧乏臭い書き方はしたくないんですけど、わずか5、6万円で本家Prophetの音作り(同じ音とは言ってない)が楽しめると考えればとんでもないことですよ、ええ。

だからAS-1側でも"POLY-MOD"と表記すればいいと思うんだけど、特許だの商標だのというアレですかね。

と思って、本家シーケンシャル・サーキット社から出ていたPro-One(Prophet-5のモノ版)を画像検索したら、こちらも"MODULATION"でしたね、うーむ。

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0202/0250/products/SequentialCircuits_ProOne_top.jpg

ということで、まだまだAS-1ネタは続きます。

Pioneer DJ TORAIZ AS-1を買った理由。

ということで、唐突ですが、昨年Pioneerから発売された初のアナログシンセTORAIZ AS-1を購入してきました。

久々にハードシンセを買おうと思って数ヶ月、のちの生活に困らない程度の価格帯から悩みに悩み、選びに選び抜いたのがこの機種であります。

僕がAS-1に感じた魅力をザッと書くと

  1. コンパクト
  2. とにもかくにも音がいい
  3. タッチ式ながら鍵盤がありスタンドアロンで遊べる
  4. アルペジエイター付き
  5. 64ステップのシーケンサー付き
  6. 安心の2系統エフェクト付き

また、好事家向きの安心ポイントとしては

  1. アナログ音源(エフェクト除く)
  2. DSI(Dave Smith Instruments)社監修
  3. Prophet-6の回路をベースに開発

というところでしょうか。まあ、僕としてはさほど強烈な購入動機ではなかったのですが。
(12/17記 むしろ買ってから驚かされたことが多かったという)

実は拙ブログでもこのシンセに触れたエントリーがありまして。

この項での主旨は「せっかくのアナログシンセなのに、495もプリセットがあったら音を作らんくなるでしょう」(名古屋アクセントでお読みください)というもの。

AS-1には悪役的な役回りを与えてしまったわけですが、お恥ずかしいことに、実はこのエントリーを書いている時にその存在を知ったのです。
つか、みんなはパイオニアがアナログシンセを作ってるなんてこと、知ってたかい?

そんな次第で「否定はしたけれども、一応お主の真の実力を診てやろうではないか」という僕なりの武士道から、楽器店へ足を運び実際に触ってみたわけです。

第一印象は「デカいmonotronだな」
第二印象は「いや、こりゃmonotribeだな」


monotribeとテンポ同期できたの図

そして鳴らしてみたところ、プリセットのクオリティーも凄いんですが、ノブを弄った時の感覚がまた良かったのです。

オシレーターの太さ、フィルターの心地良さといった基礎体力の高さに加え、アサイン次第で凶暴に変化できるコントローラー、これも高ポイントでした。

https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/production/toraiz-as-1/black/overview/

時同じくして、タッチ鍵盤やらアルペジエイターやらシーケンサー搭載など、なんとなく似たコンセプトのUno Synthも登場し、比較しながら実奏したわけですが、値段はお高いけれど(倍以上)、より長く付き合えるのはこちらだと確信しました。

難点と言えば、パネルに出ているノブが少なく、細かい音作りをエディット画面で行う点。
これもPC用のエディターで解決するというものの、ACの結線すら面倒くさがるモノグサですから、また悩ましい。
とは言え、本体のみでも全てのパラメータを弄れるのでこれは良しとしましょう。

さらに乾電池で駆動してくれたら最高でしたが、どう聴いても「これは電気を食う音だ」としか思えないので止む無しかと。

ところでDave Smithと言えば、あのProphet-5の生みの親であり、YMOなんぞを嗜んでいて『BGM』あたりをベストに挙げるような僕からすれば、それはそれはひれ伏してしまうような存在であります。

とは言え。

以前担当していた番組のディレクターが、Prophet'08をベースとしたMophoを購入し、自慢してきやがりました。
音がいいとは思ったんですが、モノグサのワタクシ、鍵盤やパッドなどもなく、単体で鳴らせない楽器には興味を抱かなかったのであります。

とにかく僕の機材チョイスの優先順位としては

単体で使える>コンパクト>エフェクト完備>音がいい>巨匠の作

であります。
だからこのブログではその崇拝ぶりについて否定しがちなMOOGブランドでも、演奏インターフェイスが付いて、コンパクトで音が良く、おまけに乾電池で動くハードが出れば即お買い上げかと思いますよ、ええ。

しかし、エフェクトボタンをon/offしながら思うのは、これまで僕が所有したシンセが「面白くて遊べるシンセ」だったのに対し、AS-1は「面白くて音のいいシンセ」なんだということ。

先にも書きましたが、これまでのどのシンセより長く付き合えるシンセになると思います。

ちなみに、AS-1についてはさほどWeb記事が上がっていない中、この開発者インタビューはなかなか読み応えがあるかと。

実は僕が購入したお店でもあり、たまたま店頭にいたのもこのインタビュアーの方だと思います。
会計後「これは本当に買って良かったと思えるシンセですよ」と言われました。本当にそう思います。

また面白い使い方があれば追記なんぞ。

ELECTRIBE Waveがバージョン2.0.0に。

毎週1曲ペースで来ていたKORG ELECTRIBE Waveでの曲作りですけど、ちょいとお休みしてます。

11月に入って、職場で「昭和初期の歌謡曲みたいなのを」という、あまりにもELECTRIBEとかけ離れたオーダーが来てしまい、KORG GadgetとYAMAHAのMobile V Editorに初音ミクを放り込んで絶賛制作中のためであります。

まあどのみちiPhoneでないと曲は作らんぞという、清々しい意思表明ではございますが。
職場のPCには去年Cubaseを入れてるんですけど、ハッキリ言ってミックスダウンにしか使ってないという、ね。

溢れんばかりのクリエイティビティをビビッドにリフレクトさせてウォーターフロントでエグゼクティブなプールバーをベンチャーするには寝モバが一番であります。何言ってるんでしょうか。

さて本日…いや日本時間では昨日か。
こう書くと海外在住人気ブロガーみたいですね。まあ今夜は高田馬場なんだけど。

それはともかく、ELECTRIBE Waveが待望のバージョンアップを果たしております。

何がどう変わったか、ざっくり書くと

  • ドラムパートにサンプルをインポート可能。

iTunes経由、AudioPaste、Audioshare、そして次項に書いたKORG様謹製のフリーサンプルをインポートできます。

たまたまAudioShareに、KORG iKaossilatorのフレーズがあったので、放り込んでみたら8小節のパターンもそのまま入ってしまいました。これ、実は衝撃的な進化。

つまり他のアプリで作ったフレーズをベースに曲作りできるというわけです。凄いぞ、うむ。

  • ドラムパート音源にフリーサンプルを無料で追加可能(要ダウンロード)。

前項に書いたフリーサンプルパック。中身はロック向けのドッタンバッタンなドラムキット、ドンカマチックのキット、M01からのFX系音源。

これ、M1ではなくそれをベースに開発されたニンテンドーDS用ソフト"M01"の音源なのがミソ。
ギターノイズとか、昭和アニメを思い出して涙が出そうなSEなど、独特のライブラリを使ってた人には嬉しいところ。嬉しくないのか、俺は嬉しいぞ。

  • ドラムパートのグループ分けが可能に。

これ、もともとD5とD6、そしてD7とD8がその対象になってましたが、すべてのパートでグループA/B/OFFを選択できるようになったということで。

任意のパートをOFFにできることで、アサインの自由度が高くなったと言えますな。
全パートをAにしてランダムに鳴らすなんて変態リズム作成も可能なわけですが、やりませんかそうですか。

  • ウェーブテーブルにエクスパンション・パック2種登場(有償)

"Solid Waves"と"Atmospheric Waves"というパックをオプションで追加できます。あっさり書けば、前者はベースやメロディ向き、後者はポリフォニック向きかなと。

POSITIONにモジュレーションをかけてみたところ、変化がわかりやすい波形が多いなというのが第一印象。確実にサウンドの幅が広がるので、入れといて損はないです。

他にもエクスポートのバリエーションが増えたとか、パターン選択画面で再生時の切り替えがいろいろできるとか、バージョンアップの恩恵バリバリなわけですが、個人的に大きいのはドラムパートのインポートですな。

ダンス系で曲作りしやすいのは、ドラムパターンをチマチマ打ち込まずに済むiKaossilatorだと思うんですが、音のバリエーションが乏しいという欠点もあったわけです。

それなら例えばiKaossilatorで作ったスネア抜きパターンをインポートして、好みのスネアを重ねてGroove機能でノリを加えたり、さらにGRAIN SHIFTERで加工してみたりと、トラック作りの速度が加速しそうな気がします。

テンポとスケールを合わせておけば、ELECTRIBE Wave側で適当にコードを入れても、そこそこ完成度の高いトラックができるんじゃないでしょうか。

ここしばらく使っておらず、クラウド逝きとなっていたiKaossilatorの需要が急激にアップしたように思います。

ひとまず、職場で与えられた課題をクリアして、また新曲作りに明け暮れたいぞと決意を新たにする今日この頃であります。

bandcamp始めてみた。

えっと、bandcampにアーティストページを作りました。

これまでもSoundcloudに作品を公開してはいるんですが、「やってみた」的なスケッチや他の人に書いた曲のデモなど非公開音源も多く、倉庫みたいな使い方になってました。

で、先日からaigp名義で曲を公開し始めたこともあり、完成品だけ置くために別アカにするか悩んでおりまして。
挙げ句、bandcampでもアップしていこうかなと至った次第です。

11/1現在、KORG ELECTRIBE Waveのみで作った4トラックを公開しています。
今のところは週1曲ペースでアップしてますが、今後は正直なところわかりません。

曲ごとの画面で「100円」とあるので腰を抜かす方もいるかもしれませんが、専用アプリからストリーミングするなら無制限再生、のことなのでぜひ。検証してないけど。

高橋ユキヒロ、再起動。

先日のYMOベスト盤『NEUE TANZ』が巷でHOTな中、高橋幸宏さんのファースト・ソロアルバム『Saravah!』が復刻されました。

いや、復刻というのは正しくないか。

1978年に収録されたバックトラックはそのままに、ヴォーカルを40年ぶりに新録、ミックスダウン&マスタリングされました。
アルバムタイトルも『Saravah Saravah!』としてリブートされたわけです。まあ『シン・ゴジラ』のようなものですかね違いますね。

そしてアーティスト名は「高橋ユキヒロ」。38年ぶりの表記復活です。
そりゃね、「高橋幸宏」で検索したって出てきやしねぇってもんです。

Saravah Saravah !

Saravah Saravah !

このアルバム、小生にとってはYMO界隈を何十年も聴き続けることになった動機のひとつでもあります。

YMOブームの最中、小学6年生だったアタクシは、FMラジオでユキヒロさんのソロ曲を聴き、ネスカフェも真っ青のヨーロピアブレンドっぷりに「えっ、テクノじゃないけどすげぇカッコいい!」と感動したわけです。ところが曲終わりにタイトルを言わなかったのです、クソDJが。

ひとまずレコード店に貯金を全額持参し、当時リリースされたアルバム『NEUROMANTIC』を購入したわけですが、ついぞこの曲は発見できず。
無論このアルバムも傑作ではありましたが、「その日は、みんなでネ。」じゃねーだろ、いつ来るんだよ、俺があの曲を聴ける「その日」はよぉ…と帯を見ながら悲嘆に暮れておりました。

それから中学に上がり、若干お小遣いも増額され、メンバーのソロ作を買ったり友人にダビングを依頼してるうちにようやく出会ったのがオリジナル版『Saravah!』。
僕がFMで知った曲は「LA ROSA」でした。

『Saravah!』はサディスティックスが空中分解しつつ、YMOに加入したばかりのユキヒロさんが多数の友人を招き、坂本教授にアレンジを託して完成させたわけですが、ほぼスタジオミュージシャンによる生演奏。

YMOに向けた習作の色濃い「MOOD INDIGO」も教授の手弾きなんだそうで、まあ才能爆発ですな。

本作と後にスネークマンショー『戦争反対』で発表される「今日、恋が」など、坂本教授の生オーケストレーションと幸宏さんのコラボに外れなし。

今日、恋が

今日、恋が

暑苦しいジプシー・キングスでおなじみの「VOLARE」やレゲエアレンジで再構築された「C'EST SI BON」といったカバー楽曲のセンスもバッキングも素晴らしく、細野晴臣さんの『泰安洋行』に並ぶシティポップス、いや加工貿易ポップス(©北中正和)の傑作として手離せない一枚です。

なお、ヴォーカリストとしてのユキヒロさんは、サディスティックス時代の甘い声から「フーマンチュー唱法」へのミッシングリンクともいうべき、抑揚を抑えた低音気味の歌唱を披露し、この時期独特の雰囲気がありました。

それから40年後に新録されたヴォーカルは、80年代初頭に会得したブライアン・フェリー直系(爬虫類系)節回し、90年代の「幸せひとり占め」「三国一の幸せ者」「思わず幸せになってしまいました」の大人の恋愛三部作を経た、健気で繊細でシニアエイジで抑揚アッパーとなっており、かなり印象が異なります。
メロディラインの起伏が激しい「BACK STREET MIDNGHT QUEEN」はその真骨頂かと。

30数年も聴いてきたこともあり、まだ慣れてないゆえところどころで「あれ?」と思う節回しも正直ありますが、当時のキーそのままなのにオリジナルよりハイ気味で歌える60代ヴォーカリストはなかなか稀有だと思います。再結成して日本で稼ぐ老いぼれバンドどもに聴かせてやりたいですわ。

新たにマスタリングされた音像は、オリジナル盤にあったハモンドやエレピなどの中低域のモゴモゴが整理され、ステレオ分離もよりクリアに。ミュージシャンたちの往年のプレイを存分に楽しめます。

教授による唯一インストの「ELASTIC DUMMY」も多分に漏れずクリアに蘇っております。松木恒秀さんや和田アキラさんもセッションに加わっているのか、70's大野雄二感濃厚でそのまま70's日テレのバラエティに使えそうですな。

で、僕をポップスに引きずり込んだ「LA ROSA」ですが、よく聴くと若干音数が整理されているようで、Aメロのバックにいたハモンドがミュートされていたり、同じくハモンドソロの歪みが抑えられていたりします。この辺りはマスタリングではなく、ミックスで手が入れられているんだろうなと。

いずれにせよルーツ音楽を臆せず晒したソロ作があるからこそ、我々も界隈で豊富な音楽体験をさせていただけるわけです。ああ有り難や。

ちなみに11月にはオリジナル『Saravah!』もリマスタリングで再発されるとのこと。

こうなると『音楽殺人』のリマスタリングにも期待してしまう、そんな2018年の秋であります。

YMOはやっぱすごいわ(小並)

はてな無課金ユーザーなので、このブログを見る方について細かい分析などまるでできないし、する気もほとんどないんですけども、まあおそらくYMOが大嫌いだという人はいないと思うんですよね。適当な想像ですけども。

織田信長の死んだ歳と同じ僕なんかモロですからね、世代的に。
シンセサイザー道なんかに足を踏み入れて廃人になったきっかけが平沢進さんならまだしもTMNのわけがない。

そりゃもおYMOですよ。信者なんてもんじゃないっすよ。全アルバムの収録曲を順にすらすら言えなければこの峠を越えさせないよと、そんな中年ですよ。

それはともかく、AppleMusicで見つけたんですよ、こんなアルバム。

NEUE TANZ

NEUE TANZ

テイ・トウワさんが選曲、砂原良徳さんがリマスタリングという、実に2010年代YMO界隈な人選ですが、僕にとっては世代がほぼ一緒でセンスも近いご両人(誇大妄想)ゆえ、収録曲はもう納得尽くです。

は?ライディーンテクノポリスだと?そんなもの捨ててこいよっていう、ね。

思えば、あの「CAMOUFLAGE」が入ったベスト盤なんてなかったし、YMOだっつってんのに高橋幸宏さんの「GLASS」、教授の「RIOT IN LAGOS」や細野晴臣さんの「SPORTS MEN」といったソロ作が入ってようが、「僕はいいと思うけどな」としか言いようがない。
細野さんのソロならここは「PLATONIC」一択だろ、なんて意見はひとまず伏せておくけれども。

ともかくこのベスト盤、まあさんざん出尽くした感のあるベスト盤、かつて「アルファ商法」なんてこき下ろされたベスト盤ではありますが、本作はまあ騙されたと思って聴くと良いです。
リマスタリングというのは実に素晴らしいと感心するばかりですから。

たぶん『BGM』の収録曲なんてどれも1,000回は聴いたはずだし、寝ながらヘッドフォンで研究に近い聴き方をしたことも何十回とありますが、本作を聴くと「まだこんな音が埋もれてたのか!」と世界ふしぎ発見間違いなし。

YMOの音は全部聴きこんだつもりでしたが、いや、これは大袈裟でなく目からウロコ、耳からもウロコがこぼれます。

今さら20歳以上歳の離れた人たちに「おい、そこの若いの、俺のYMOを聴いてくれ」なんていう気はないですけども、老眼や肝臓の数値が気になり始めたRipe Ageにこそお薦めいたします。

ということで、2年ほど前にKORG Gadgetでコピーした「Nice Age」を紹介して本稿を締めさせていただきます。

耳コピで作っちゃったんで『NEUE TANZ』版を聴くと、全然フレーズが拾えてなかったことやスネアのチューニングの違いに気づき恥じらいを禁じ得ません。
まあこの曲はオリジナル同様カットアウトしてほしかったな、蛇足ですけども。

ELECTRIBE Waveは、とにかく捗る。

ズバリ言って(©アントニオ猪木ELECTRIBE Waveでの曲作りは快適さが半端ねえんです(一部を除けば)。

あえてカッコ書きしたのは、パターン間で特定パートのシーケンスのやりとりができないことなんだけどね。
まあ、これはいずれバージョンアップでなんとかなるんじゃないかと勝手に期待しております。

ソングの組み立てがKORG Gadgetとはまったく異なるので、どちらが良い悪いとは言いづらいのだけど、一筆書きのように作曲を始められるのは嬉しい。

というわけで、3週連続で曲が1曲ずつ仕上がってるわけで、飽き性の僕にしては相当レアですよ。

ELECTRIBEシリーズの特徴は、フィルターではなくモジュレーションで音作りができる点。
このELECTRIBE Waveでは、パンやエフェクトまでモジュレーターにぶっ込むことができ、おまけに波形にはS&H(サンプル&ホールド)まである。まさにゴッチ直伝(ちょくでん)であります。


「直伝」は「ゴッチ」が付くと「ちょくでん」と読みます。くれぐれも。

特にDELAYやGRAIN SHIFTERをアサインすると、橋本真也もかくやというほど予測不能な破壊っぷりをしてくれるのがたまらない。
さらにMOTIONタブを併用すれば、特定ステップでDEPTH=ゼロワンにしたりと、破壊王を制御できてしまうのです。


MOTIONタブではほぼすべてのパラメータが制御可能

KORG Gadgetでも同じようなことはできるんですが、シーケンス画面で目当てのパラメーターを探すのに、延々と縦移動させられるので、ズバリ言ってめんどくせえんです(©アントニオ猪木)。
とにかくELECTRIBE Waveはパラメーターの呼び出しが快適なわけだ。いやわけです。

今回の曲はひとつのパターンでフレーズをきっちり作っておいてから、コピー先でいろんなパートをグレインしまくったりトランスポーズしたりパンを振りまくったり、という作業で作ってます。

しばらくはこんな感じのリズム遊びが続きそうであります。