sh101's blog

シンセとラジオの40数年。

minimoogがiPhoneにまでやってきた。

これを知らなきゃシンセを語るな、とまで好事家が叫ぶシンセがあります。
それがミニモーグでございます。

これぞ本物のシンセ、という表現もされてました。まあ電子音に本物も偽物もないと思うんですが、兎にも角にもこれを知ってないとシンセは語っちゃまずいそうです。ああ、良かった知ってて。持ってないけど。

確かに昨今販売されている製品を鳴らしてみても、モーグのシンセは別格と言う他ないほど太い音がします。本物かどうかはさておき、音がデブ、それだけは確かです。

つい最近まで生産されていたミニモーグは、日本円にして40万円前後の価格がついていたのです。
僕が小学生の頃読んだ『シンセサイザーに首ったけ』という書籍に載っていた、1981年当時の価格とさほど変わってません。

1970年に生まれ間もなく50年。回路的には進化しているものの、パネルレイアウトはほぼそのまま、というクラシックにも程があるシンセで、好事家の心の拠り所なのです。

時代は移り「ソフトシンセ」という、なんだか洒落た豆腐みたいなフニャフニャのPC世代においても、その太いサウンドの再現はひとつの憧れであったようです。

現在はハードシンセメーカーとしても知られるArturiaは、かつてミニモーグのPC用プラグイン"Minimoog-V"を生産していて人気を博しました。
2012年7月にmoogのライセンスが切れる寸前に、無料ダウンロードを敢行した挙げ句、名前を"Mini-V"と変えて販売継続したことで話題となりました。

もうお前らには「ミニ」で通じるだろ、と言わんばかりの明快さです。クルマの世界じゃ「クーパー」でしょうが、その手の好事家はミニと言えば「モーグ」なのであります。

そして2013年、そのMini-VをベースにiPad向けアプリとしてリリースしたのが"iMini"でした。

こちらはアスペクト比的にもなかなかにミニモーグっております。
実機を持ってないので、確認のしようがないんですけども、iPadに突っ込んで「これがモーグの音かぁ」なんて思いながら弾いておりました。
実機とこのアプリを弾き比べて「オー似テル似テル」とか言ってる海外のレビュー動画も観ました。

やがて僕のiPadが娘のようつべ再生専用機と化したので、iMiniもiPhoneでも使えるようユニバーサル化してくんねぇかな、と思っていたところ、ついに本家モーグ様がユニバーサルアプリをリリースされました。

その名も"Minimoog Model D App"。

こちらはiPadの画面。iMiniとどちらがお好みでしょうか。

しかし、本家本元は、その名を略さないものです。前田慶次はやはり前田慶次郎利益でなければならないのです。

実はモーグiOSにアプリをリリースしたのはこれが初めてではなく、2011年に"Filtatron"というフィルターモジュールをシミュレートしたアプリ、さらにベクトルシンセの新種ともいえる"Animoog"を発売します。

Filtatron

Filtatron

  • Moog Music Inc.
  • ミュージック
  • ¥600
Animoog for iPhone

Animoog for iPhone

  • Moog Music Inc.
  • ミュージック
  • ¥600

この後モーグiOSアプリはしばらく途絶えるわけですが、一昨年突如リリースされたのがモジュラーシンセ"Model 15"でした。

Model 15

Model 15

  • Moog Music Inc.
  • ミュージック
  • ¥3,600

ルックスから本気のモジュラーかと思ったんですが、弾くというよりは鳴らすのが目的のようで、プリセットの趣向もRolandAIRAから出たPLUG-PUTシンセ"SYSTEM-100"に限りなく近い、綺麗なシーケンスの流れる箱的な印象でした。

そして今回登場したのが、まさに全世界の好事家が待ちに待った"Minimoog Model D App"なのであります。

iPhoneで見ると、画面の1/4近くがメニューで覆われています。

ここで上部の[PLAY]ボタンを押すと、上部の圧迫感が薄まります。

表示領域が広がったのに、なぜか左端のController群が消えてしまうのはご愛嬌。

しつこいようですが実機を持ってないのでかなり適当に書きますけれども、この"Minimoog Model D App"、なかなか太いサウンドをお持ちです。

まあ本家本元の商品ですし、過去の名機があらかたDAWプラグインで蘇り尽くした2018年ですので、パラメータの挙動とサウンドは実機のそれだろうという仮説のもとご紹介すると、大きく異なるのは4ポリフォニック仕様となっている点。

これはプラグイン音源ではもはや当たり前で、iOSにおいてもKORGが先行して復刻したARP ODYSSEiもポリ仕様でした。

ここで気になるのは、ただでさえ存在感の強いMinimoogの音で和声を鳴らしたら聴くに耐えないものにならないのかしらん?ということ。
いろいろ試した結論としては、フィルター全開の音はやっぱり煩いかなと。少なくともアタックタイム0での和声は、立ち過ぎな感じもします。
この点を逆手にとれば、逆に存在感のあるパッド系は作りやすいと思います。

そしてアルペジエイター、ディレイといった、もう実機に付けといても何の問題もないFX群には、"BENDER"というパラメータがあります。
これは鍵盤左のピッチホイールとは違い、あくまでエフェクトの一種で、VCAを出た後にさらに個別のLFOを通してサウンドに厚みや不気味なエフェクトを付けられるもので、使用感としては効果の極端なコーラスというところでしょうか。

個人的にハマった機能は"LOOPER"。
適当にプログラムを切り替えながらアルペジエイターを鳴らしてみるとミニマル・ミュージックが一丁あがり。パフォーマンスにはもってこいでしょう。

ちなみにFXは全部で4種類。それぞれが、古い事務机の引き出しのようになっていて、全部出すとフロントパネルに覆い被さってしまうのがちょっと面白いです。

あのTR-8がリボーン。Roland TR-8S発表。

RolandからTR-8の上位機種、TR-8Sが今月24日に発売されるそうです。

これは重要だな、と思ったのはAIRAブランドでリリースされたことです。
SYSTEM-8の後、AIRAではDJソフトウェア"serato DJ"のコントローラーとしてDJシリーズの発売が続いていました。

DJ-505やDJ-808にはTR-8の縮小版のような機能があるにはあったんですが、昨今ではTB-3ですら楽器ではなくDJ機器コーナーにひっそり置かれていたりして、AIRAの目指すところはこれだったのか、と失望したこともありました。
いっそ『AIRAとは何だったのか』と題した本でも書いて一杯やりたくなる気分でした。

まあACBだってソフトウェアだし、筺体はあくまでガワだし、と言われたらそれまでですが、基本的に単体で面白みのないものは所詮コントローラーに過ぎません。

てなことで、久々に単体楽器がAIRAブランドに名を連ねることに、ホッと胸をなでおろす次第です。

https://static.roland.com/assets/images/products/gallery/tr-8s_front_gal.png

なんとなくNa◯ive Instruments製品に見えなくもないのですが、まあそれはさておき。

先代のTR-8から変わった点をザックリと挙げると、まずハード面ではパッドがベロシティ対応に、6系統のパラアウトも付きました。

音源部はTR-808、909、606、707、727サウンドがデフォルトで搭載されました。
またオリジナルのサウンドをSD経由でインポート可能。サンプルはモノラル44.1kHz換算で600秒(1サウンドあたり最大180秒)までインポートできるとのことなので、フレーズサンプリング以上のものが入れられそうです。

シーケンスではインストごとにステップ数を変えられたり、モーション・シーケンスも可能になるなど、細かいブラッシュアップがされています。

https://static.roland.com/products/tr-8s/images/img_tr-8s_06.png

ここで何気に「おっ」と思った新機能はフィルイン

"ソング"の概念がないTR-8(S)では、それこそ曲を展開する直前にオカズ入りのパターンを呼び出すか、スキャッターを回すなど、何らかのマニュアル操作を加える手間が要りました。
フィルイン機能をセットしておけば、2/4/8/12/16/32小節ごとに勝手にオカズを入れてくれるそうで、これなら展開直前に他の機種を弄る時間的かつ精神的な余裕も生まれそうです。

ちなみにYouTubeのRolandChannelでは、早速いくつかのデモ動画が公開されてます。

隣に置かれたSH-101などに惑わされてしまいますが、間違いなく単体で鳴っているサウンドでしょう、これは。

そして気になる市場価格は、75,000円前後に落ち着きそうです。先代機に有償のPLUG-OUT入れて、機能を向上したと考えれば妥当なところでしょうか。

自前のサンプルを加えられるようになり、さらに単体で遊べる予感満載のTR-8S。
またまた物欲がわいてきましたがな。

ところで緑色の縁取り、なくなったんスね。

シンセのエフェクトにFMラジオが役立つ話。

KORG monologueには、エフェクトがない。
まあ正確にはDriveがあるのだけど、ディレイやコーラスというTheが付くような類のものはない。
悲しいけど、これは事実だ。

前年にminilogueが発売された折、開発者の高橋達也さんはディレイについて「自分がシンセを使うときに必ず欲しくなる」と発言されたのに、monologueには搭載されていない。
無念だが、受け止めるほかない。

普段部屋にいる時はベリンガーのQX1202USBに突っ込んで内蔵エフェクトをかけてるんだけど、AC稼働のために寝転がって鳴らすにはちょっと不便だ。

そんなわけでちっちゃいエフェクターが欲しくなり、近所のHARD OFFを覗いてみた。

3万円台で売られていたKORG MS-20Roland SH-9を横目に、mini kaoss padあたりでもあればなぁと物色していたら、こんなものが売られていたのだ。

KORGのTONEWORKS”PANDORA”ことPX2Tである。
取説など付属品はなく、裸のまま3千円台で絶賛販売中だった。
ずいぶん昔に雑誌で見たなぁ、くらいの印象しかなかったが、iPhone6とか7とか8とか、あのサイズでそこそこ小さい。

どうやらギタリスト用のマルチエフェクターのようだ。ということはディレイくらい付いてるだろう、クオリティは不問だし、と即決でレジへ。

購入してすぐにリアパネルのフタを開けてみたら単三2本で動くようだ。
しかし取説もないので、どんなエフェクトが入っているのかもわからない。

そこで検索してみたら、KORGの公式サイトで取説PDFを発見。最後のページ下段を見て1997年製であるのを確認。おっと、20年も前の製品かぁ。

そして最初のページから見直したら、下記のエフェクトが搭載されていた。

当時のマルチエフェクターとして不可欠なものはほぼカバーされているようだ。
この他にギター用らしくチューニング機能や、33種のリズム&メトロノーム機能があるのだけど、予想もしていない機能が搭載されていた。

それはFMステレオトランスミッター

その名を聞くのは、ほぼ10年ぶりだろうか。
iPodの楽曲をカーステで鳴らす時に使ったアレだ。

それならと、早速説明書通りにPANDORAをmonologueと繋ぎ、FMトランスミッターをOnに。
たまたまPANDORAと同じサイズの2スピーカーFMラジオがあったので、近くに置いて周波数を合わせてみた。

おおおおおおおおおっ!鳴った鳴った!!

アナログのFMラジオゆえノイズはどうしようもないけど、なんとも懐かしい、味のあるサウンドでmonologueが鳴ってくれた。

ちなみに同じヘッドフォンをPANDORA、FMラジオそれぞれに刺してみたけども、FMステレオ特有のじわっと滲むような音像、そしてナチュラルなコンプが実に強烈。
FMラジオ自体が、立派にエフェクターと化している!

昨今は96kHzも当たり前のDAWの音世界で、何か強烈な存在感が欲しいという時は戦力になりそうだ。


動画も撮りました。音をラインで録っておけばよかったかな…

それにしても。
FMトランスミッター付きエフェクター、エレキ界隈ではメジャーなものなのだろうか?

検索したところ、少なくともKORG製品ではこのPANDORA(PX1T/PX2T/PX3T)しか見当たらず、他に海外製品がわずかに発見できた程度。
ちなみにPANDORAの現行商品はこちら。

残念ながら、4代目にあたるPX4で赤外線トランスミッターに代わり、さらにPX5DではUSB接続となってワイヤレス接続はなくなった模様。現行商品に至っては、LINE OUTのみになってしまわれた。

しかし、我が商売道具であるラジオ受信機が、斯様な形でシンセに繋がるとは思いも寄らなかった。いや、知恵が回らなかったというべきか。

なんと言っても全てが電池稼働のこのセット、ケーブルはmonologueとPANDORAを繋ぐ1本あればいいので、このままどこへでも持ち運べるのがいい。
需要がどこまであるかは知らないけれども。

手前味噌だけど、日本のAMラジオ局も続々とワイドFM化している今日この頃。
受信機を持ってる方で電気or電子楽器を趣味としてる方は、今すぐPANDORA探しをお勧めします。

いやホント、これマジで楽しいわ。

iPhoneにおいてKORG Gadgetがなかなかに頼もしくなっている件。

KORG Gadget for iOSのアップデートが来てたので、詳細を読むと、

KORG Moduleの新しいエクスパンション・サウンド・ライブラリーに対応しました。

とあったので、そのKORG Moduleの更新情報を見てみると、

だそうです。
そうか、KORG Moduleがユニバーサルアプリ化していたのをすっかり忘れておりました。

ふと思い出したことが。
2年前、こんなエントリーを投稿しておりましたアタクシ。

そうそう、あの時はKORG ModuleがiPad/iPhone別アプリだったんですよ。
それで他のModule音源が使えなくなるというリスクを冒してまでも、果敢にリモートインストールなるものに挑んだわけですね。

あれからiPhone7Plusに乗り換えたこともあり、普通にModuleを再インストールしてしまったんで、TRITONの音源は消えておりました。

そんなわけでガジェットの復元をやってみたところ、以前Module for iPadにインストールしていた「TRITON Best Selection」がiPhoneにも他の音源とともに入りました。


Moduleではパネルに”TRITON”の表示が入ります。


Gadgetでは”GLASGOW”ガジェット音源(32-131番)として登場。ブラウジングするのに手間取るのが難点かと。

こうなると他のエクスパンション・ライブラリーも入れてみたくなるもの。2/15までなら、半額の1,200円で手に入ります。

そこで今回は新たに発売された3本から「KApro Orchestral Dreams」を購入してみました。
このデモを聴いて決めました。

Made in USAなSFX超大作で使われそうなサウンドであります。

Gadgetにはオプション含めいくつかPCMシンセがあるんですが、「KApro Orchestral Dreams」は音の厚み、表現力で過去のガジェットに完勝です。ループされてないサンプルも多数あり、リアルなサウンド作りには必須でしょう。


この音色(KAPRO EPIC DRUM)にはいくつかのキーにフラムさせたサンプルがアサインされていて、ポイントを狙って鳴らすとそれだけで生っぽくなります。

不思議なことにこのライブラリーの最後には、尺八が入ってるんですけども、これを上記のデモのような音構成に混ぜると、ギャレス・エドワーズ版『GODZILLA』のサントラが出来上がります、ハイ。

Gadget関連記事を書いてなかった間に、新しいガジェットシンセもいくつか登場し、半年ほど前にも80年代の名機Mono/Polyのアプリもリリースされ、Gadgetでも”Montpellier”の名で搭載できるようになっておりました。

KORG iMono/Poly

KORG iMono/Poly

  • KORG INC.
  • ミュージック
  • ¥3,600

ちなみにKORG Gadgetにおけるガジェット(シンセアプリ)名は、何かしらの意味を持たせた都市名が付されています。例えばARP ODYSSEiであれば”LEXINGTON”(ケンタッキー州工業都市)のように。
しかるに”Montpellier”のケースはどう見てもワールドワイドなダジャレですな。

そしてエフェクトにも、初のマキシマイザーとして、DAWプラグインでおなじみの”DeeMax”がラインナップされ、金を払った分だけしっかりグレードアップしてくれる、そんな頼もしい奴となっております。

思えばiELECTRIBEを筆頭に、いくつKORGiOSアプリを購入してきたのか数えきれなくなってますが、近年の商品はポータルアプリのごとくKORG Gadgetにも投入できるため、仮に元のシンセに関心がなかったとしてもホイホイとポチってしまうわけで、なかなか商売上手だなぁと思う次第です。

願わくば、もうこどものオモチャになってしまったiPadに唯一残してあるiM1もユニバーサル化していただきたく存じます。KORG様におかれましては、何とぞご一考のほどよろしくお願いいたします。

KORG iM1

KORG iM1

  • KORG INC.
  • ミュージック
  • ¥3,600

ところでこのKORG GadgetはすでにリリースされたMac版のみならず、近日Nintendo Switch版も登場するそうです。

こちらにも、親愛なる佐野電磁さんのDETUNEさんが開発に加わっており、かつてiMS-20欲しさにiPadを購入したようにSwitchもなんとかしたいなぁ、でもハードシンセも欲しいなぁと悩む日々が延々と続いているのでございます。

prologue欲しいな、からのAIRA回帰。

一昨日から、もぬけの殻のこのアジトに来訪された方が多数。
アレですかね、KORGさんから発表されたアレについて検索された方が、ここへたどり着いたのでしょうか。

せっかくなので久々にエントリ上げてみるですよ。

発表された時の衝撃たるや。
minilogueからのmonologueと来れば、そりゃアナタ、次はもうprologueでしょう、と思ってたそのまんまでしたから、なにしろ。

いやアナログのフラッグシップ機、ここに極まれりですよ。
思えばリボンコントローラを付けたmonotronの登場から、暴れん坊のmonotribe、ストイックなvolca keys、そしてスリム鍵盤にアルミパネルとささやかなウッドパネルを纏ったminilogue、やんちゃぶりを取り戻したmonologueと来て、遂に標準サイズの鍵盤に8ボイスと16ボイスという2種ですよ。
ウッドパネルも、もう立派にサイドへびっちりと。これが呑まずにおれますか、え?おれますか。

実に心温まる吉報でしたよ。


こちらが16音ポリのprologue-16

そして8音ポリのprologue-8。16のみアナログコンプとブースター搭載。

今年の初めにmonologueゴールドを手に入れたワタクシですが、やっぱりポリにも行っとかないと、とminilogue購入を検討し始めた矢先だったのですよ。
でもね、やはりフラッグシップ機だけあって、お値段はなかなかなのです。

そこで、気分だけでも味わおうとmonologueブラックに手をつけようかと考えたわけです。
いや、わかってるわかってる、あの黒とこの黒は全然違う。ポリでもない。そんなこたぁ重々承知してるんだ、ぼかぁ。

ちなみに最近仕事で曲を作る時は、iPhoneKORG GadgetプラスmicroKEY AirかnanoKEY Studioのコンビネーションしか使ってません。

おそらく今後もこのままじゃないかと思います。

なんたってそこそこ音もいいし、何と言っても気楽。寝ながら作業できるというのは他の環境では得がたい点。
勤め人にとって、曲作りに必要なのは気楽さなのだ。

だからそんな僕がハードシンセを欲しがるのは、あくまでもホビーであり、あわよくばWAVに吐き出してGadgetに取り込もうという程度のものなのですよ。
もうバンド演奏も5年やってないし、DJなんて大学祭の余興でGREENOLIVESの”JIVE INTO THE NIGHT”とHOT GOSSIP”BREAK ME INTO LITTLE PIECES”をアナログ盤で繋いで以来25年やってないぞ。

だから無理は禁物なのだ。養う家族がいる中で、働き方改革で派手に残業代を叩き出せない中で、なかなかホビーに有り金をぶっ込めないのである。

ということで、慰めにRoland SYSYEM-1を引っ張り出してみたのだ。minilogueと同じく4音ポリだし。
いや、1年ぶりだなSYSTEM-1。PLUG-OUTにはPromarsが入りっぱなしでしたな。PCぶっ壊れてたし。

で、こんな感じでmonologueに繋いでみたのですよ。

これ、何をしてるかというと、ベロシティ対応のポリキーボードとして使えるmonologueで、ベロシティ非対応のSYSTEM-1を鳴らしてみたわけです。
ついでにシーケンサーもね。

SYSTEM-1に対する不満は、シーケンサーのないところと鍵盤の不甲斐なさだったのですよ。これでとりあえず解消。

しかしよく考えると、このシーケンサー、prologueには搭載されてないのです。
volca以来のKORGアナログマシンの最高の発明であるモーションシーケンスが、なぜここで断ち切られてしまったのか。これがprologue最大の欠点だと思うのですよ、うむ。

さて、ついでにPLUG-OUTもSH-2に入れ替えようと、今年買ったPCにあれこれ再インストールしてみたわけです。
いつの間にかRoland BridgeがサービスをBACKSTAGEに移してたんだけども。

購入履歴を見たら…あれっ、SYSTEM-1のPLUG-OUT版まで買ってたのか。忘れてたな。

Ableton Liveから順調にSH-2をPLUG-OUTしたついでに、ハード版SYSTEM-1のメモリも入れ替えてみることに。
つーか、PLUG-OUT版のライブラリー、初めて覗いた気がするなぁ。

279音もあるのか…。
ここから64音に絞ってハードへSENDするという地道な作業。

ところが困ったことに、SYSTEM-1ってこんなに音が良かったんだ、と再認識してしまった。
まあ、4年前に弄り倒していたつもりだけど、KORGの音に馴染みすぎていたのか。

ううむ…紆余曲折というやつだ。
ということで、こっちも選択肢に入ってきたのである。

8ボイスであれば価格帯も近い。これは完全なる競合だ。
そもそもアナログに拘っているわけではないし、欲しい音がすぐに鳴らせるか、欲しい音に近づくようすぐに弄れるか、僕の希望はそれだけなのだ。

それではサイズを合わせて並べてみよう。


ううむむむむむむむ

ドイツのKORG公式でmonologueのサウンド公開。

年始休みということで久々の更新です。
たまにではありますが、KORGのmonologueを引っ張り出してあれこれ弄っています。

まあ、色味的には新春っぽいですな。

ところで、検索していたらKORGのドイツ版公式でmonologueのサウンドライブラリが追加されていました。

作成したのは『キャットウーマン』『ザ・リング2』『ダブル・テイク』などを担当した映画音楽作曲家のChristian Halten氏。
ライブラリは24種のサウンドが含まれてますが、モーションシーケンスを多用したリズムサウンドが多めです。

monologueはプリセットでもベースやノイズ系のサウンドに寄っている印象ですが、イニシャルから作っていっても「これ、保存しとこう」と思うのは、中低域のレンジで作ったものが多めです。

たぶんエフェクトをかけていれば違うのかもしれませんが、ノンエフェクトで「これは面白い」というリズムが作れるのがmonologueの最大の特徴なんでしょうね。

なるべく1エントリーで『仮面ライダークウガ』の魅力を書いてみる。

最近、シンセネタで書きたいこともあったんだけど、本業の一環で作曲などをしてるうちに、ここに書くのを躊躇してしまったので、落ち着いたとこで投稿します。

ということで、最近の忙殺される日々に潤いを与えてくれたものを書いてお茶を濁させてくだされ。

もう17年も前になるんだなぁというところで、先ほど全話観終わりました。

なぜいま頃クウガ

仮面ライダークウガ』は、今なお続く平成ライダーの第1弾。テレビシリーズとしては『仮面ライダーBLACK RX』以来10年ぶりの作品です。

当時、初期の数話は観られたものの、独身で遊び盛りだった僕にとって、日曜朝のオンエアはなかなかキツく、また録画を忘れてしまった10話あたりから「なんか、もういいか」という感じになってしまったわけです。

こうなってしまったのは、この『クウガ』が一話完結ではなく二話セットだったこと。さらには大河ドラマのように一年を通じて主人公たちの成長を描くストーリーであったことも影響していました。要は付いていけなくなっちゃったのです。

ちなみに、同様の理由で全話観直すハメになった作品に、『ウルトラマンガイア』があります。

最終回の謎

僕は『クウガ』の最終回を偶然リアルタイムで観ているんですが、これがまた問題作でした。

クウガの最終決戦から3ヶ月経て、主人公・五代雄介の相棒となった一条薫刑事が主要な登場人物の元を訪ね、決戦後に姿を消してしまった五代について語りあう内容でした。
この回には前週のダイジェストはおろか、動くクウガの姿が1カットもないという徹底ぶりのため、予備知識がないと五代雄介に何が起こっていたのかわかりません。

つまり10話から48話を観ていない僕にとって、あまりにもポカーンな内容だったのです。
DVDを借りれば良かったんですが、その頃付き纏っていた「イケメン特撮」というフレーズに、近寄りがたいものを感じ、足が遠のいてしまった次第です。

今年になって、オダギリジョーについて調べる機会があり、そこで「クウガ出演を黒歴史にしている」という噂を目にしました。
それが誤りなのはすぐわかったんですが(今も共演者との付き合いを続けており、一昨年には下リンクのドキュメンタリーにも出演)、その途端に動画で観たくなり、dtvで初回から少しずつ観直したんです。

あまりの素晴らしさに、リアルタイムで観れば良かった!と後悔する一方で、いま鑑賞しても全く古びていないことにも感激しました。

あの頃と違い、今ならレンタルのみならず、dtvのような動画配信サービスで鑑賞することも出来ます。
ゆえに、拙者のごとき諸事情で観られなかった方へ向けて、とにかくこの1エントリーで『仮面ライダークウガ』という作品の魅力を書こうと思い立ったわけです。

道徳の教科書みたいな五代雄介

この公式動画で、どんな人たちが関わって、どんな映像が作られたのか、ニュアンスは伝わると思います。

さて、何から書けば良いのか迷うところですが、一番のプッシュはオダギリジョー演じる主人公、五代雄介の異質さでしょうか。

「人々の笑顔を守りたい」という、まるで道徳の教科書のようにイノセンスな信念を持つ五代。

過去の戦士たちが掲げた「世界平和」「正義の戦い」というテーゼは、2000年代に入るにつれ、複雑な意味を纏ってしまいました。
制作者たちにとって、ヒーローが私怨を捨てて戦うためには、五代のような漠とした信念を持たせるしかなかったのかもしれません。

人々を笑顔にさせる1,999の技を会得してきた五代は、古代遺跡で見た幻影に導かれるように、2,000個目の技としてクウガへの変身能力を身につけました。
そして不安や恐怖、怒りに飲み込まれた人々に笑顔で「大丈夫!」とサムズアップを決めたのです。

例え相手が人類の敵であろうと、暴力を振るうことに「いい気分がしない」と拳をさすりながら発言する聖人ぶり。
(この描写が最終回にも反映しています)

しかしストーリーが進むにつれて、この純真さが仇となって五代の心に影を落としていく展開になります。

聖人君子ではいられない

本作の敵は、人間と同じ身体構造を持ちながら、体内に埋め込まれた石によって、肉体を戦闘マシンに変えてきた古代の知的生命体「グロンギ」。
殺戮を競い合う「ゲゲル」(ゲーム)という文化と独自の言語を持つ彼らに対し、我々人類との間に和平の道は全くありません。

グロンギには厳格な階級や格があり、回を追うごとに強力かつ残忍な敵が登場し、人類を守る戦士クウガは徐々に追い詰められます。

シリーズ中盤でグロンギに敗れた五代が心停止した際、一条刑事の友人である医師の椿から電気ショックを受け、その影響で戦闘能力が向上するわけですが、人々の笑顔を守るためには、結局暴力を使ってグロンギに勝ち続けるしかなかったのです。

ドラマ史上最低最悪の犯罪

この暴力の可否が端的に描かれたのが、34話「戦慄」と35話「愛憎」でした。
この回のゲゲルは、ゴ・ジャラジ・ダというグロンギが、高校のある学年の男子生徒90名を皆殺しにする趣向でした。

その手口は、生徒の頭部に小さな針を埋め込み、4日後にそれを変形させて脳内出血から死に至らしめるという残忍なもの。さらに死を宣告した後も生徒たちに自らの姿をチラつかせ、絶望的な恐怖と与え続けるという卑劣さ。
おそらくテレビドラマ史上最低最悪の凶悪犯でしょう。

ひとりの生徒がゲゲルの掟にない「自殺」を選んでしまったため、最後のターゲットに選ばれパニックに陥った転入生。
病院で睡眠薬と安定剤を施されて眠っていたところへ、警察の厳重な警備をかいくぐって侵入してきたジャラジ。

そこへ五代が飛び込みクウガへ変身。
間一髪で生徒は助かった(と思われる)のですが、問題はその後の戦闘シーンでした。

あまりにも凄惨な制裁

病室の窓から揉みあった状態で地上に落下する両者。
クウガマウントポジションでジャラジの顔面をひたすら殴り、踵で蹴りあげます。

口内を切って血しぶきを飛ばすジャラジは、隙をついて逃げ出しますが、すぐに捕まってサンドバッグ状態に。抵抗しようとクウガの拳を掴むものの、アッパーを喰らってダウンします。

自身のバイクに飛び乗ったクウガは、フラフラと立ち上がったジャラジに突っ込み、そのまま走り抜けます。
バイク前方にしがみついたジャラジは、自身の針で抵抗を試みますが、装甲タイプ(タイタンフォーム)に姿を変えたクウガに三たび殴りつけられます。

爽快感のない勝利

バイクを急停止させた反動で、ジャラジを湖まで吹っ飛ばしたクウガは、ソード(剣)を携えてゆっくりジャラジへ歩み寄ります。

クウガが進むカットには、五代がテレビニュースで見た被害者たちの顔写真、同級生たちが泣きじゃくる葬儀の模様がフラッシュバックします。怒りは頂点に達したのでしょう。

最後っ屁とばかりに飛ばした針も装甲に跳ね返されるジャラジ。
その間クウガはひと言も発さず強化タイプ(ライジングタイタンフォーム)へと姿を変えます。恐怖におののくジャラジの呻きだけが響きます。
ズバリ言えば処刑です。もうどっちがヒーローかわかりません。

湖水に入ったクウガは、棒立ちのジャラジを数回斬りつけて仰向けに倒すと、ソードを腹に突き刺し、弱点であるベルトの石を直接破壊します。
映像ではクウガの腕の動きによって、胃の辺りから下腹部へ向かって斬り裂いているのが確認できます。

凄まじい大爆発を起こしてジャラジの身体は四散します。

ご存知ない方に書いておくと、普段のクウガはここまで冷酷ではありません。

キックや武器で相手の身体に封印のマークを付け、封印エネルギーをグロンギ体内の石(ベルト)へと伝達させ自爆に導くのが、クウガの通常のフィニッシュなのです。

クウガが直接敵のベルトに手をかけたのは、この回ともう一例しかありません。

憎しみの先に見えたもの

太陽すら霞むような爆煙の中、五代の脳裏には真っ黒なクウガの姿が浮かびます。
これが最終形態「アルティメットフォーム」です。

グロンギの体内に「石」があると書きましたが、五代の身体(変身ベルト=アークル)にも「アマダム」と呼ばれる石が埋め込まれています。
このアマダムが、怒りや憎しみから拳を振り下ろすと、クウガはやがて戦うためだけの兵器に変貌してしまうと警告する意味で、五代に幻影を見せたのです。

闘いを終えたところへ駆けつけた一条。いつもなら笑顔でサムズアップを決める五代ですが、今回に限っては表情が読み取れず、また彼自身も湖から駆け寄ろうともしませんでした。

一条の困惑した表情からも、五代の異常を察していたことがわかります。

五代の肉体に起こったこと

アマダムの能力は、クウガに変身させるのみならず、五代の筋肉や神経系統に変化を与えたり、五代自身が戦闘時で受けたダメージを驚異的に回復させたりします。
クウガの装甲に穴を開けられたり、肩に銛が貫通して流血しても、五代の姿に戻った時にはかすり傷ひとつ残しません。

シリーズ序盤には五代が痛みに耐える描写もあったのですが、アマダムにより徐々に肉体が超人化していたようです。
この辺りは、医師・椿により回を追って解明されていきます。

ところが全話通して観ると、五代が何気ないところでつまづくシーンが複数存在していることに気づきます。
この描写はさらっと流されますが、おそらく肉体の変化に脳からの命令が付いていけてないのでしょう。

強くなった果てに

一条刑事によるグロンギの幹部「バラのタトゥーの女」への捜査、そして五代の友人・沢渡桜子による碑文の解析によって、クウガが強くなるのに伴い、グロンギの首領「ダクバ」と同じ力を持った「凄まじき戦士」すなわちアルティメットフォームになってしまうことが判明します。

碑文によれば、この変化は「太陽を闇に葬る」…つまり世界を恐怖のどん底に突き落とす可能性もあったのです。

また、クウガになった直後から五代の身体の変化を診察してきた椿は、進化の果てにダグバに惨殺されたグロンギの遺体を調べ、五代の身体もやがて人間とは別のものに変わってしまうことを悟ります。

その懸念を指摘された五代は「大丈夫です!」と笑顔でかわしたものの、ひとりになると不安げな表情を浮かべます。

平成の本郷猛・一条薫

彼の苦悩を察していたのが他ならぬ一条薫です。

警察としての使命感に燃えるがゆえに、民間人に過ぎない五代を巻き込んだことを悔いており、また終わりなき戦いの行く末に笑顔も見せず、グロンギに襲われても不屈の闘志で現場へ復帰する一条。

戦いを好まず、強く主張もせず、常に笑顔で楽観的に物事を受け止めている(ように描写される)五代とのコントラストで、一条の方が本郷猛のごとき過去のヒーロー像で描かれているのもこの作品の面白さです。

五代が「大丈夫」と答えると、「しょうがないなあ」と苦笑する登場人物の多い中、一条だけは視線を落としていることが象徴的です。

究極の闇、降臨

首領のダグバは第1話で復活し、先代のクウガからアークルをむしり取り、遺跡の研究チームを惨殺して姿をくらませた後、200体以上のグロンギを殺害し、手下にベルトを修復させて完全復活を果たします。

そして47話アバンで豪雨の中、ついにクウガと対峙します。
特殊能力によりクウガを体内から発火させ、アマダムに傷をつけるほどのダメージを負わせ、その目前で3万人を殺害します。

気のおけない仲間とスポーツでもするように殺戮を楽しむダグバ。
何もできずに悶え苦しむクウガに対し、無邪気な笑い声をあげた挙げ句「もっと強くなって僕を笑顔にしてよ」と、おぞましい言葉を投げかけます。

強くなれ、とはすなわち「凄まじき戦士」になれ、ということ。
人々を笑顔にするために強くなってきた五代が、最強の敵を笑顔にするために究極の選択を強いられるという、あまりにも悲しい皮肉なのです。

観ててください、彼の変身

果たして五代は「一条さん、俺…なります」と、アルティメットフォームへの変身を決意します。

この台詞はモノローグ的に挿入されており、どこでどのような表情で発言したものかは不明です。
しかし、五代が自分の笑顔を犠牲にしてまで、人々の笑顔を守ることを決心したことは確かです。

一条に人類の敵として射殺されるかもしれない。
人間の心を持ったまま変身できても、一度半殺しにされたダグバには勝てないかもしれない。
仮にダグバを倒せても、仲間たちと共存できない身体に変化しているかもしれない。

そんな不安もあったのでしょう。

そしてダグバとの最終決戦に勝利したら、そのまま日本を去って冒険の旅に出ることも告げたようです。
ここから五代は、彼らしい行動に出ます。

人生に大きな影響を与えてくれた小学生時代の恩師、幼いこどもとの約束を破ってまで兵器開発に尽力した科警研の榎田、世界でただ一人のかかりつけ医の椿、居候していた喫茶店「ポレポレ」、保育園で働く実妹みのりと園児たち、クウガ最初の目撃者にして同志として戦ってきた沢渡桜子のもとを訪れ、「絶対に勝つから」とサムズアップを決めて、しばしの別れを告げるのです。

一条は五代にその時間を作らせるために、ダグバ出現までの間、一切の連絡を絶っています。

一条以外の知人たちが五代の姿を見たのは、これが最後となります。

迎えた48話の最終決戦。
さらに49話の後日談。

ここまで読み進めて、クウガを観たくなった方のために、あえて結末は書かずにおきます。


※本エントリーの画像はバンダイのS.H.Figuartsを用いて作成しております。