monologue活用法〜AS-1のアレを覗く
我が家で「またそんなもの買って」と話題沸騰のTORAIZ AS-1ですが、その前に買ったハードシンセは、KORGのモノフォニックシンセ、monologueでした。
もう2年近く前なんですけどね。
久々に読み返して、monologueもこないだのAS-1も、4年前のRoland TB-3やmonotribeやvolcaシリーズも、僕は楽器店で購入してることに気づきました。
CD、PCなんかは専ら通販ですけど、シンセだけは現物を見ないと買えないんですね。
SYSTEM-1に至っては、酒を飲んだ勢いで買ってますし。
それはさておき、今回はあることを思いついたので、このmonologueとAS-1を繋いでみます。
AS-1のオーディオアウトをmonologueのオーディオインに繋ぎます。
で、ヘッドフォンはmonologue側をモニターします。
monologue側では以下のセッティングにします。
GLOBALメニューで音源をイニシャライズし、MIXERセクションのOSC1とOSC2のノブを左に回して0にします。
そのままシーケンサーで任意のキーを16ステップ分タイで入力します。そしてシーケンサーを作動させておきます。
一方、AS-1のセッティング。
こちらもGLOBALメニューからイニシャライズ。
OSC1のSHAPEをTri(三角波)にしておきます。
VOLUMEノブを正午の辺りにセットし、HOLDボタンを点灯させて適当なキーをひとつだけ鳴らします。
すると…
monologueのオシロスコープ画面に三角の波形が浮かびます。
そうです。AS-1の波形を見てやろうという話です。
双方のセッティングを初期化したのは、どちらもフィルター周りを全開にして、素の波形を見るためであります。
また今回はmonologueのゲートも開きっぱなしにするため、シーケンサーを作動させたんですが、余裕があれば鍵盤を押し続けるだけでも構いません。
AS-1のオシレーターの特徴は、三角波〜ノコギリ波〜パルス波の連続可変。
SHAPEをVALUEノブで徐々に右へ回していくと、音が鋭くなりながら、波形が徐々にSaw(ノコギリ波)へ近づきます。
実はこの波形、monologue本体で鳴らすノコギリ波と向きが逆なんですな。
AS-1のように時間とともに上昇して急降下するのが、本来のノコギリ波とのことです。どちらでも聴感上の違いはないそうですが。
そしてこのままVALUEノブを右へ回し続けるとPulseに近づきます。
ちなみにPW(PULSE WIDTH)の値は、イニシャライズにより127、つまり矩形波となっています。
SHAPEが行き着いたところ。
ありゃ、随分歪んだ矩形波ですな。モデルとなったProphet-6がどういう波形かはわかりませんが、モノシンセとしてエッジを効かせる目的があるのか…
こちらのPioneer開発者インタビューでは、DSI(Dave Smith Instruments、現SEQUENTIAL)の開発者とオシロスコープで波形を見ながらチューニングした、との証言もあるので、あえてこの波形を作ったことが想像されます。
動画も撮りました。
三角波からノコギリ波を経て矩形波へ行って(往路)、また三角波方面に戻しています(復路)。
往路では回し方に緩急がつき過ぎたようで、変化が急激なところもありますが、その分復路はゆっくりとノブを弄ってるのでまあ大目に見ろってくれぐれも。
AS-1の自作音をアップ。ついでにケースについて。
AS-1を買って10日ほど経ってしまいました。
ポリモジュレーション的なことをやろうとしたり、ついついOSC2をSYNCさせてしまううち、ひとつの音を作るのに、あーでもないこーでもないと、20分も30分も費やしてしまうんだよなぁ。
ということで、ひとまず聴かせられるレベルかな、という音を動画(静止画プラス音声)にしてみました。
イニシャルから音を作っていくなんて、4年前に買ったRoland SYSTEM-1以来か。
あちらは全部のパラメーターがノブとスライダーに出てるんで、感覚的にはちょっと違うんだけども。
プリセットから部分的に弄っていくのもいいんですけど、なんかいちいち初期化してしまうんですな。
それにしても、AS-1を弄っていると「この音をポリで弾きてぇな」とか思っちゃって、それはすなわちProphet-6が欲しくなるということに他ならず、「ちょっと待て」ともうひとりの自分がビンタしてくるんですよ。
デイヴ・スミス御大の思うツボじゃないですかね、これは。
それはさておき。
AS-1の専用ケースが欲しいなと思っていて、来月の小遣いで買おうかなと考えておりましたが、残念ながら、国内では取り扱ってないんですよ。
RolandのAIRAシリーズもそうですが、日本のメーカーなのに純正オプション品が買えないというのは、なんとかならんもんですかなぁ。
海外通販はトラブると面倒なんで、なんか適当なバッグでもさがそうかなと思っていた次第です。
で、こないだAS-1のオーディオインターフェイス用にRCAピンのコードを探すため、ベッドの下を覗いたら、20年近く前に買っていたゼロハリバートンがあったんですね。
どうしてこんなものを買っていたのか。
当時、NTTドコモのシグマリオンというPDAを持ってまして、これがゼロハリとコラボしたデザインだったんですよ。
出典:PC WATCH
それだけの理由で調子に乗って、一番小さくて安いの(と言っても4、5万円した)を買ったんですけどね。
確か限定生産で、現行商品でいうところのカメラケースくらいのサイズなんだけど、内部の仕様がPCケースに近く、実際のところ用途がよくわからない。
A4より小さいので書類を入れるのに向かないし、そもそも普段使いにはゴツすぎる。
結局買ったはいいが、シグマリオンから他のPDAに乗り換えた後は、ケーブルを仕舞うくらいしか使い道がなかったんですよ。
ん、もしかしてAS-1入るんじゃね?
うはっ、スッポリ収まった。
ベルトで固定してみっか。
うわーっ、ジャストフィットじゃない。
おまけに蓋の裏のポケットにAC一式入るじゃない。
閉めてみるか。
本体の向きを間違えなければ、アームで傷つくこともない。奇跡的であります。
ということで、これをケースとすることにしました。
よかった、20年前の投資が無駄に終わらなくて。
これで何処へでも持って行けます。
TORAIZ AS-1のパラメーターについて❷
前々々回と前々回と前回に続き、Pioneer DJ TORAIZ AS-1についてです。
ようやく仕事が落ち着いて没入してるんでこの話題が続くのは仕方ないだろ、というわけで、今回もパラメーターについてです。
最も思い通りにならないけど、バシッと決まった時はもう快感、という[MODULATION]セクションから。
後述のLFOとは別に、FILTER ENVとOSC2を使って変調するのがこのセクションです。
Prophet-6ではポリモジュレーション(POLY MOD)という名称ですが、AS-1においても同じ機能です。
前に書きましたけど、「ポリモジュレーション」はLFOのみで行う「モノモジュレーション」の対義語で、音源の発音数とは関係ないという認識でした。
しかし『Sound & Recording Magagine』(つまりはサンレコ)2017年6月号のAS-1特集において、開発の方が「AS-1はモノシンセなので正確にはポリモジュレーションと呼べない」と発言されているので、どうやら僕の誤認だったようですね。
それなら本家シーケンシャル・サーキットのモノシンセPro-One(Prophet-5のモノ版)における呼称が"MODULATION"だったことにも合点がいきます。
詳しくはこちらで(丸投げ)。
閑話休題。
ここでは変調できるターゲットがOSC1のFREQ(ピッチ)、SHAPE(波形)、そしてPW(PULSE WIDTH)となっており、例えばフィルター・エンベロープでSHAPEを三角波からノコギリ波方面へ緩やかに変調することもできます。
またOSC2の"KEY FOLLOW"をオフ設定することで、変調の周期を"FREQUENCY"に設定した周波数に固定出来ます。つまりOSC1に対してLFOでの設定と速度や波形が異なるビブラートやPWMがかけられる、というわけです。
ちなみにOSC2の"LOW FREQ"をオンにすると、LFOの周期がOSC2の周波数に左右されます。
ま、これだけウダウダ書き連ねてもわかりにくいと思うので、ひとまず私からは「レッツ・トライ」の一言でまとめさせていただきます。
こちらはLFOです。
シンセを齧った経験をお持ちの方は、歯茎からの出血とともに理解されてるでしょうが、周期はテンポとシンクロできます。
"FREQUENCY" は4/4で8小節から32分三連符までの18種からと、かなりきめ細かに選べます。
ターゲットは[MODULATION]セクションに比べて多く、OSC2のピッチ、アンプ、フィルターに対しても変調できます。
それと"FREQUENCY"の値を最速、"SHAPE"を"Random"にすると、ノイズモジュレーションがかかります。これをフィルターにかけると、バリバリのノイズに変わりますのでお試しを。
アルペジエイターやシーケンサー、スライダーの機能は触ればわかる安心設計のため記載を割愛します。
とにかくAS-1が素晴らしいシンセサイザーであることは間違いないんですが、そこは当ブログ、オール手放しで褒めちぎりません。
最後にひとつだけ、謎仕様について書いておきます。
それはこの[GLIDE]、つまりポルタメントに関する2つの問題。
AS-1では、通常のポルタメントかけっぱなし以外に、レガート演奏に対してのみグライド効果をかけることができ、レイト/タイム固定で4種類から選べます。
ところが、内蔵シーケンサーでスラー(前の音とトリガーを連結させる)をオン、かつグライド効果をかけると、音程がちょっと怪しくなるんですね。
いろいろフレーズを試したところ、スラーの際ピッチに何らかの処理がされていること、そして内蔵シーケンサーではGLIDEの設定が全音に対してかかってしまうのだと推察されます。DAWなど外部のシーケンスでは解決できそうですが。
もうひとつ、フィルターを自己発振させたサイン波にGLIDEの設定が追従しないこと。これはシーケンスのみならず、手弾きでも同様でした。
サイン波を作る時は、口笛やテルミン風な奏法をイメージすることも多いので、わりと残念なウィークポイントなんですよ。
僕が見落としている設定があるのか、回路構成の問題なのか、よくわかりません。
誰か教えろ、いや教えてくださいお願いします。
TORAIZ AS-1のパラメーターについて❶
さてさて、前回の記事でも書いた、TORAIZ AS-1とSEQUENTIAL Prophet-6のパラメーターが完全に一致、という件の続きです。
その前に、AS-1のサウンドエディター・アプリについてですが、メーカーのPioneerではなくSoundTowerというサードパーティからリリースされています。
このサイト、90年代のHTMLな煤けた薫りというか、阿部寛のホームページ的なノスタルジーが漂ってるんですが、ひとまず安心しても良さそうてす。まあPioneerさん公式のお導きですから。
で、3種類のアプリのうち"TORAIZ AS-1 Sound Editor LE"は無料で落とせます。
このアプリのキャプチャとProphet-6のパネル比較画像を眺めながら、まずはオシレーター周りから、機能や特徴を紹介します。
廉価シンセですらオシレーターシンク可能な2OSC仕様になってきた昨今、AS-1で特に注目いただきたいパラメーターが"SHAPE"(Prophetのパネルの方がわかりやすいかと)。
ノブを左に振り切ると三角波、センターがノコギリ波、右に振り切ればパルス波へと連続可変していきます(本体表記はTri-Saw-Pulse)。
他のシンセでは、波形を選択し別のノブで変化させるタイプも増えていますが、3つの波形をシームレスに繋げるというのはmoogの影響でしょうか?
次の回で触れますが、このSHAPEは(ポリ)モジュレーションのターゲットとなっているため、時間経過とともに波形がモーフィングするサウンドも作れます。
ちなみにパルス波は、その右隣の"PULSE WIDTH"の値が127だと矩形波となり、最小値0と最大値255になるとパルス幅が0%となるため無音となります。
そしてLFOのモジュレーションソースにもなるOSC2は、鍵盤に追従しないよう設定可能です。
こんな動画(静止画と音声)をアップしました。
前半20秒はOSC2をC1に固定したもの、後半20秒は前半のセッティングにLFOで2分音符刻みの矩形波モジュレーションをかけたものです。
僕にあと少し脳味噌と時間があれば、もっとかっちょ良いコード進行も作れたんですが。
さて「オートチューニングだか何か知らねぇが、最近のアナログシンセは安定し過ぎて面白みに欠けらぁな」とお嘆きの貴兄に嬉しいのが、ピッチに不安定さを加える[SLOP]セクション。
ほどほどにかければヴィンテージな揺らぎに、目一杯かければ失笑してしまうほどの音痴に調教できます。
[MIXER]セクションには、OSC1、OSC2のレベルはもちろん、OSC1の1オクターブ下の三角波を出す"SUB LEVEL"、ホワイトノイズを追加する"NOISE"があります。
AS-1のフィルターは自己発振可能なので、純粋にサイン波が欲しい時は、このパラメーターを全て0にしておきましょう。
また"SUB"の存在感は格別で、安いヘッドフォンでもズーンと響く低音を楽しめます。
一方ホワイトノイズは、少量混ぜてフィルターを開け閉めするとプロフェット風味がお口いっぱいに広がります。
続いては公式でも「Prophet-6と完全に同じ」と謳っているフィルターのご紹介です。
AS-1には自己発振可能なLPFとHPFの2基があり"CUTOFF"はもちろん、"RESONANCE"と"ENV AMOUNT"も独立して搭載されています。
10万円以下の価格帯では1基でLPF/BPF/HPFの切り替え式、HPFがあっても"CUTOFF"のみという機種も多いので、結構レアかと思います。
LPFはキレが良く、カットオフを相当絞っても、波形の美味しいところだけをしっかり残してくれる印象。
HPFの殺傷能力は極めて高く「わー、ローが全部消えちゃった!」と慌てふためくほどです。レゾナンスは、ただ上げてるだけでは効果が不明瞭ですが、LFOモジュレーションとの組み合わせで絶大な効力を発揮します。
なおフィルターのキーフォローは、それぞれオフ/Half/Fullの3択です。
エンベロープはフィルター用とアンプ用の2基搭載。
AS-1本体のノブでは"ATTACK"、そして"DECAY"および"RELEASE"の一括コントロール(フィルター/アンプ双方に作用)しかできないので、音作りではこちらの設定をお忘れなく。
とりあえず今回は気力が尽きたのでここまで。
ちなみに本体だけでも、PARAMノブとVALUEノブで全てのパラメーターが弄れますので念のため。
TORAIZ AS-1とProphet-6を較べてみた。
引き続きPioneer DJ TORAIZ AS-1の話題。今回はサウンドについて、ちょいと具体的に書きます。
この動画でもわかるように、AS-1はDave Smith Instruments社が2015年に発売した6ボイスのポリシンセProphet-6をベースに開発されたモノフォニック・シンセです。
まあ、どう見てもルックスの違う両者ではありますが。
AS-1ではノブの数を最小限に絞ってあるため、細かなエディットで階層を掘っていく必要があるのは前記事にある通り。
で、最初はKORG MS-20と同社のmonotronのように「フィルター回路が同じ」だけの関係なのかな、と思ってたわけです。
実際「AS-1のフィルターはProphet-6と同じもの」との記事がいくつもありましたし。
ところが取説を片手に階層を掘ったところ、初めて目にする"SLOP"なんてセクションがあるわ、HPFにはノブに出てないレゾナンスがあるわで、「ちょっと奥さん、これどういうこと!?」と声を荒げそうになってしまいました。
そこでパラメータの全貌を知るため、AS-1用サウンドエディターをPCに入れてみました。
http://www.soundtower.com/toraiz/
その画面キャプチャーと、Prophet-6のフロントパネル画像を部分的に比較してみた図がこちら。
細かくてすいませんねぇ。
左列がAS-1、右列がProphet-6で、上からOSCILLATOR、FILTER、ENVELOPE、MODULATION、EFFECT、LFO、ARPEGGIATOR&SEQUENCERの各セクションを並べております。
驚きました…ほぼ同じやんけ。
AS-1のEFFECTにリバーブがないなどの細かい差異はあるけれども、それ以外はまったく同じパラメータが並んでおります。
しかもセンターが±0となるノブまで同じ。
こちらの記事によれば、Pioneerさん曰く「Prophet-6をある程度ベースにしつつ、艶っぽい音はそのままにさらにエッジのたったようなサウンドに仕上げています」とのことですが、いや、まさか構成がパラメータレベルで同じとは…
つまるところ、モノシンセとして音が立つよう、なおかつ部品がコスト的に調整されているということでしょう。価格差が大きいですから、なにしろ。
もうちょっと僕がお金持ちなら、両者の出音をオシロスコープに通して「いやあ、ここは似てますなあ」などと腕組みする自撮り動画をアップしたいところですが、残念ながらそれは無理です。
それにしても、Prophetシリーズの伝統である「ポリモジュレーション」まで受け継がれているのはすごい。
この場合の「ポリ」とは発音数を指すんじゃなく、モジュレーションソースがLFOのみならず、FILTERエンベロープやOSC2でもOSC1やフィルターを複雑に変調できるってことね。
こんな貧乏臭い書き方はしたくないんですけど、わずか5、6万円で本家Prophetの音作り(同じ音とは言ってない)が楽しめると考えればとんでもないことですよ、ええ。
だからAS-1側でも"POLY-MOD"と表記すればいいと思うんだけど、特許だの商標だのというアレですかね。
と思って、本家シーケンシャル・サーキット社から出ていたPro-One(Prophet-5のモノ版)を画像検索したら、こちらも"MODULATION"でしたね、うーむ。
ということで、まだまだAS-1ネタは続きます。
Pioneer DJ TORAIZ AS-1を買った理由。
唐突ですが、昨年Pioneerから発売された初のアナログシンセTORAIZ AS-1を購入してきました。
久々にハードシンセを買おうと思って数ヶ月、モノ/ポリ問わず、のちの生活に困らない程度の価格帯から悩みに悩み、選びに選び抜いたのがこの機種であります。
僕がAS-1に感じた魅力をザッと書くと
また、好事家向きの安心ポイントとしては
- アナログ音源(エフェクト除く)
- DSI(Dave Smith Instruments)社※監修
- Prophet-6の回路をベースに開発
※今年のある時期から社名が「SEQUENTIAL」になりましたとさ。
というところでしょうか。
最後の3点は、僕にとってさほど強烈な購入動機ではなかったのですが、むしろ買ってから驚かされたことが多かったという(次の稿参照)
実は拙ブログ、過去にこのAS-1に触れたエントリーがありまして。
この稿の主旨は「ビバ!モノトライブ」でして、monologueやAS-1のようにプリセット音の多いシンセを引き合いに出したのは「せっかくのアナログなのに、495もあったら音を作らんくなるでしょう」(名古屋アクセントでお読みください)という理由。
AS-1には悪役的な役回りを与えてしまったわけですが、お恥ずかしいことに、実はこのエントリーを書いている時にその存在を知ったのです。
つか、みんなはパイオニアがアナログシンセを作ってるなんてこと、知ってたかい?
そんな次第で「否定はしたけれども、一応お主の実力とやらを診てやろうではないか」という僕なりの武士道精神から、楽器店へ足を運び実際に触ってみたわけです。
第一印象は「デカいmonotronだな」
第二印象は「いや、こりゃmonotribeだな」
筐体は意外とズッシリ重く、パネルの仕上げも高級感があります。コントローラーもしっかり作られていて、僕が普段スタジオで接している業務用の音響機器と比べても遜色ありません。
そして鳴らしてみたところ、中域がしっかり出ていて驚きました。低域だけ妙に特化した最近のアナログシンセの存在感とは雲泥の差で、小手先感のかけらもない。
オシレーターの太さ、フィルターの心地良さといった基礎体力の高さに加え、アサイン次第で表情を激変できるスライダーの存在、これも高ポイントでした。
時同じくして、タッチ鍵盤やらアルペジエイターやらシーケンサー搭載など、なんとなく似たコンセプトのUno Synthも登場し、比較しながら実奏したわけですが、音が違いすぎました。
もうひとつ比較したのは、以前こちらでも取り上げたRolandのSE-02。
Studio Electronicsの開発だけあってMinimoogを相当に意識して作られたようですが、オシレーター自体の良さ、フィルターの切れ味など音の良さではAS-1と対等です。
前面にノブが全て出てるのはいいんですけど、あのBoutiqueサイズゆえ、単体で使いづらいのが最大の難点かなと。
難点と言えば、AS-1では逆にパネルに出ているノブが少なく、細かい音作りをエディット画面で行うのに抵抗がある人もいるように思います。
これもPC用のエディターで解決するというものの、僕自身ACの結線すら面倒くさがるモノグサですから悩ましい。まあ使っちゃうんですけどね。
ぶっちゃけ慣れてしまえば、本体のみのエディットも大して苦ではない、と書いておきます。
さらに乾電池で駆動してくれたら最高でしたが、どう聴いても「これは電気を食う音だ」としか思えないので止む無しかと。
ところでDave Smithと言えば、あのProphet-5の生みの親のひとりであり、YMOなんぞを嗜んでいて『BGM』あたりをベストに挙げるような僕からすれば、それはそれはひれ伏してしまうような存在であります。
とは言え。
以前担当していた番組のディレクターが、Prophet'08をベースとしたMophoを購入し、自慢してきやがりました。
音がいいとは思ったんですが、モノグサのワタクシ、鍵盤やパッドなどもなく、単体で鳴らせない楽器には興味を抱かなかったのであります。
とにかく現在の機材チョイスの優先順位としては
単体で使える>コンパクト>エフェクト完備>音がいい>巨匠の作
であります。
エフェクトボタンをon/offしながら思うのは、これまで僕が所有したシンセが「面白くて遊べるシンセ」だったのに対し、AS-1は「面白くて音のいいシンセ」なんだということ。
先にも書きましたが、これまでのどのシンセより長く付き合えるシンセになると思います。
ちなみに、AS-1についてはさほどWeb記事が上がっていない中、この開発者インタビューはなかなか読み応えがあるかと。
実は僕が購入したお店でもあり、たまたま店頭にいたのもこのインタビュアーの方だと思います。
会計後「これは本当に買って良かったと思えるシンセですよ」と言われました。はい、本当にそう思います。
また面白い使い方があれば追記なんぞ。
ELECTRIBE Waveがバージョン2.0.0に。
毎週1曲ペースで来ていたKORG ELECTRIBE Waveでの曲作りですけど、ちょいとお休みしてます。
11月に入って、職場で「昭和初期の歌謡曲みたいなのを」という、あまりにもELECTRIBEとかけ離れたオーダーが来てしまい、KORG GadgetとYAMAHAのMobile V Editorに初音ミクを放り込んで絶賛制作中のためであります。
まあどのみちiPhoneでないと曲は作らんぞという、清々しい意思表明ではございますが。
職場のPCには去年Cubaseを入れてるんですけど、ハッキリ言ってミックスダウンにしか使ってないという、ね。
溢れんばかりのクリエイティビティをビビッドにリフレクトさせてウォーターフロントでエグゼクティブなプールバーをベンチャーするには寝モバが一番であります。何言ってるんでしょうか。
さて本日…いや日本時間では昨日か。
こう書くと海外在住人気ブロガーみたいですね。まあ今夜は高田馬場なんだけど。
それはともかく、ELECTRIBE Waveが待望のバージョンアップを果たしております。
何がどう変わったか、ざっくり書くと
- ドラムパートにサンプルをインポート可能。
iTunes経由、AudioPaste、Audioshare、そして次項に書いたKORG様謹製のフリーサンプルをインポートできます。
たまたまAudioShareに、KORG iKaossilatorのフレーズがあったので、放り込んでみたら8小節のパターンもそのまま入ってしまいました。これ、実は衝撃的な進化。
つまり他のアプリで作ったフレーズをベースに曲作りできるというわけです。凄いぞ、うむ。
- ドラムパート音源にフリーサンプルを無料で追加可能(要ダウンロード)。
前項に書いたフリーサンプルパック。中身はロック向けのドッタンバッタンなドラムキット、ドンカマチックのキット、M01からのFX系音源。
これ、M1ではなくそれをベースに開発されたニンテンドーDS用ソフト"M01"の音源なのがミソ。
ギターノイズとか、昭和アニメを思い出して涙が出そうなSEなど、独特のライブラリを使ってた人には嬉しいところ。嬉しくないのか、俺は嬉しいぞ。
- ドラムパートのグループ分けが可能に。
これ、もともとD5とD6、そしてD7とD8がその対象になってましたが、すべてのパートでグループA/B/OFFを選択できるようになったということで。
任意のパートをOFFにできることで、アサインの自由度が高くなったと言えますな。
全パートをAにしてランダムに鳴らすなんて変態リズム作成も可能なわけですが、やりませんかそうですか。
- ウェーブテーブルにエクスパンション・パック2種登場(有償)
"Solid Waves"と"Atmospheric Waves"というパックをオプションで追加できます。あっさり書けば、前者はベースやメロディ向き、後者はポリフォニック向きかなと。
POSITIONにモジュレーションをかけてみたところ、変化がわかりやすい波形が多いなというのが第一印象。確実にサウンドの幅が広がるので、入れといて損はないです。
他にもエクスポートのバリエーションが増えたとか、パターン選択画面で再生時の切り替えがいろいろできるとか、バージョンアップの恩恵バリバリなわけですが、個人的に大きいのはドラムパートのインポートですな。
ダンス系で曲作りしやすいのは、ドラムパターンをチマチマ打ち込まずに済むiKaossilatorだと思うんですが、音のバリエーションが乏しいという欠点もあったわけです。
それなら例えばiKaossilatorで作ったスネア抜きパターンをインポートして、好みのスネアを重ねてGroove機能でノリを加えたり、さらにGRAIN SHIFTERで加工してみたりと、トラック作りの速度が加速しそうな気がします。
テンポとスケールを合わせておけば、ELECTRIBE Wave側で適当にコードを入れても、そこそこ完成度の高いトラックができるんじゃないでしょうか。
ここしばらく使っておらず、クラウド逝きとなっていたiKaossilatorの需要が急激にアップしたように思います。
ひとまず、職場で与えられた課題をクリアして、また新曲作りに明け暮れたいぞと決意を新たにする今日この頃であります。