TORAIZ AS-1とProphet-6を較べてみた。
引き続きPioneer DJ TORAIZ AS-1の話題。今回はサウンドについて、ちょいと具体的に書きます。
この動画でもわかるように、AS-1はDave Smith Instruments社が2015年に発売した6ボイスのポリシンセProphet-6をベースに開発されたモノフォニック・シンセです。
まあ、どう見てもルックスの違う両者ではありますが。
AS-1ではノブの数を最小限に絞ってあるため、細かなエディットで階層を掘っていく必要があるのは前記事にある通り。
で、最初はKORG MS-20と同社のmonotronのように「フィルター回路が同じ」だけの関係なのかな、と思ってたわけです。
実際「AS-1のフィルターはProphet-6と同じもの」との記事がいくつもありましたし。
ところが取説を片手に階層を掘ったところ、初めて目にする"SLOP"なんてセクションがあるわ、HPFにはノブに出てないレゾナンスがあるわで、「ちょっと奥さん、これどういうこと!?」と声を荒げそうになってしまいました。
そこでパラメータの全貌を知るため、AS-1用サウンドエディターをPCに入れてみました。
http://www.soundtower.com/toraiz/
その画面キャプチャーと、Prophet-6のフロントパネル画像を部分的に比較してみた図がこちら。
細かくてすいませんねぇ。
左列がAS-1、右列がProphet-6で、上からOSCILLATOR、FILTER、ENVELOPE、MODULATION、EFFECT、LFO、ARPEGGIATOR&SEQUENCERの各セクションを並べております。
驚きました…ほぼ同じやんけ。
AS-1のEFFECTにリバーブがないなどの細かい差異はあるけれども、それ以外はまったく同じパラメータが並んでおります。
しかもセンターが±0となるノブまで同じ。
こちらの記事によれば、Pioneerさん曰く「Prophet-6をある程度ベースにしつつ、艶っぽい音はそのままにさらにエッジのたったようなサウンドに仕上げています」とのことですが、いや、まさか構成がパラメータレベルで同じとは…
つまるところ、モノシンセとして音が立つよう、なおかつ部品がコスト的に調整されているということでしょう。価格差が大きいですから、なにしろ。
もうちょっと僕がお金持ちなら、両者の出音をオシロスコープに通して「いやあ、ここは似てますなあ」などと腕組みする自撮り動画をアップしたいところですが、残念ながらそれは無理です。
それにしても、Prophetシリーズの伝統である「ポリモジュレーション」まで受け継がれているのはすごい。
この場合の「ポリ」とは発音数を指すんじゃなく、モジュレーションソースがLFOのみならず、FILTERエンベロープやOSC2でもOSC1やフィルターを複雑に変調できるってことね。
こんな貧乏臭い書き方はしたくないんですけど、わずか5、6万円で本家Prophetの音作り(同じ音とは言ってない)が楽しめると考えればとんでもないことですよ、ええ。
だからAS-1側でも"POLY-MOD"と表記すればいいと思うんだけど、特許だの商標だのというアレですかね。
と思って、本家シーケンシャル・サーキット社から出ていたPro-One(Prophet-5のモノ版)を画像検索したら、こちらも"MODULATION"でしたね、うーむ。
ということで、まだまだAS-1ネタは続きます。