実はオッチャンに優しいELECTRIBE Wave
8月にiPad用アプリとして発売されたKORG ELECTLIBE Wave。iPad2しか持っていない僕には手の届かないアプリだと知りつつも、この動画にはやられました。
これはもう、iPadだからこそ映えるアプリなんだなと、斯様に考えておりました。
だから今月からiPhoneにも対応したと知った時、僕の脳内で「ごちゃごちゃ言わんと、早よポチってまえ」「でもな、画面こまいやろ?タッチしにくいんちゃうか」と、2人の関西人が議論していましたが、愛知県製の指は素直にポチっておりました。
アイコンクリックでいきなり全てが読み込まれる臨戦態勢。
ずいぶんと攻めたUIに変貌しましたな。
これがシンセパートのエディット画面です。しかしパラメータをよく見たらこりゃ普通のシンセだわ(見た目は)。
音源部は完全にリファインされ、ベースやメロディどころか、コード演奏も可能です。これにより、リズム専用機からミュージック・ワークステーション化したことがよくわかります。
で、音いじりの欲求はひとまず置いておき、一番上の[PTN]を[SONG]に切り替えて、7曲のデモをじっくり堪能すべし。
このアプリがどこまで作り込めるのか、どんな先鋭的なサウンドが鳴るのかなど、しかと脳に叩き込んでおきましょう。
画面をドラムパートに切り替えました。かつてのER-1ぽさを残す唯一の画面です。
こちらは8つのパートにPCM音源を自由にアサインできます。 波形の名前を見るとDDDだのKPRだのLNだのT8だのT9だの、既視感と既聴感のあるサウンドも完備。
T8…もといTR-808由来の1パッドによる入力についてはもう説明不要でしょう。
これまでのiELECTRIBEシリーズとは異なり、ドラムパートにモジュレーションはありませんが、パートごとに異なるエフェクトをかけられるようになりました。
こちらがミキサー画面。
シンセ8/ドラム8のパート構成がよくわかります。ライブパフォーマンスには必須でしょう。
さらに入力にはおなじみのカオスパッドも。こちらの動きもRECで記録されます。
残念ながらiELECTRIBEに搭載されていた、ランダムにビートを刻んでくれるFLUTTERは消滅してしまいましたが、スネアやハットにGRAIN SHIFTERをかけてパッドでiFXをグリグリやるとなかなか気分かと。
さて、ELECTRIBE Waveは単にパートが増えただけではありません。シンセに音階が付けられるようになっただけでもありません。ポリフォニックになっただけでもありません。
リファインされたシンセパートの音源部こそ、このアプリ最大の売りと言ってよいでしょう。
これがウェーブテーブル音源からの波形選択画面。
細かいことはさておき、波形がこれだけ並ぶとどれを使えばよいか迷いますな。
さらにPOSITIONスライダーでそれぞれの波形が変化するため(最近のシンセでSHAPEだのCOLORだの言われるような効果、だと思う)、派生したバリエーションもとんでもない数になりそうです。
それとシンセパートには2基のモジュレーターが搭載されており、POSITIONをアサインすると、PWM的な効果を発揮してくれます。もちろんBPMともシンクできますし、表示された3D波形がムズムズと動いちゃって、まあどうだ、こりゃ楽しいぞ。
あと波形はタブ切り替えで「M1 PIANO」のようなPCM音源も選べます。これなら最近の音源トレンドに疎いオッチャン世代も安心ですね。
つかですね、iELECTRIBEにモデリングシンセが4基しかなかったということは、それだけモデリング音源が演算によりメモリを消費してたんじゃないかと。
なので音源に限れば一概に比較できないわけですけれども。
それはさておき、最初の方にも書きましたが、実機のSONG機能が復活しております。これなら昨今のクラブプレイに疎いオッチャン世代も安心ですね。
アコースティック音源が豊富なKORG Gadgetとの棲み分けも自ずと進みます。
ちなみに懸念どおり、iPhone 7 PlusではiELECTRIBEに比べミスタッチの頻度は高めです。
その意味からも、リアルタイムに音をあれこれするより、作り込んだパターンをSONGに並べていく、昔ながらの曲作りに向いてるかなと思いました。
まあiPad Proくらいのサイズならミスタッチもないでしょうが。
それから大事なこと。
Bluetooth MIDIとコルグ・ネイティブ・モードに対応してくれたことで、nanoKEYStudioとの相性が実にもうっ!てな感じ。
全てのノブとボタンとパッドが見事なまでに機能し、このアプリのために生まれた専用コントローラじゃないの?てなくらいのマッチング加減なので、本格的にハマったらご検討を。
他にも制作中の曲からコードを自動的に抽出してパッドに割り当ててくれるというFetch機能、ドラムパートに様々なノリを加えられるGroove機能など、トラック作成に便利な機能もあるわけですが、平日の夜じゃそこまで試しきれないので、その辺は休みの日にじっくりと。
斬新な色づかいのUIに尻込みしちゃうかもしれませんが、これ、案外オッチャン世代に優しいアプリかもしれないな、というのがオッチャンの素直な感想です。
それなりの曲に仕上げたいけどこれまでのELECTRIBEシリーズでは物足りない、かと言ってKORG Gadgetでは選択肢が多くてまとまらない、とお嘆きの貴兄にはビシッとフィットするELECTRIBE Wave。
騙されたと思ってぜひ。