sh101's blog

ちょっとお小遣いを貯めればなんとかなるシンセを語る日々

moog、ポリなのかパラなのか問題。

先月24日、このシンセ動画がSNSを飛び交いました。
http://www.korg-kid.com/moog/wp-content/uploads/2018/09/Grandmother.jpg
あれ、去年発売したGrandmotherじゃないの、と思ったわけですが。
上の動画に映ってたのはこれ。

https://api.moogmusic.com/sites/default/files/styles/super_key_2x/public/images/2019-04/Matriarch_Wood_Background-26_web.jpg

今回発表されたのはMatriarchという新機種です。

49鍵 、アナログ4VCO、ステレオアナログディレイ、アルペジエイター、シーケンサー搭載で、おまけにモノ/2ボイス/4ボイスに切り替え可能とか。
さらにGrandmother同様、パネルには90ものパッチポイントがあり、モジュラー愛好家も満足できるかと。

まだ日本の公式サイトでは何のアナウンスもありませんが、本家サイトにおいて、本製品はポリフォニックではなく、パラフォニック・シンセと呼ばれています。

https://www.moogmusic.com/products/matriarch/

つまり実質4VCOのモノシンセだけど、2VCOの2音(デュオフォニック)にも、1VCOの4音にもなるよということです。
当然ながら音自体の厚みは、発音数が増えれば減ってしまうわけで、我々ニッポン人としては「KORGのMono/Polyみたいな感じだね」と考えればいいんでしょう。

夏に発売とのことで、アメリカでの価格は1,999ドル(約22万円)だそうです。
Grandmotherの2倍強の価格ですが、何かを我慢すれば手を出せる方も多いでしょう。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fa/Moog_Polymoog_Synthesizer.jpg

思えばmoogというメーカーは、誰もが認める超老舗でありつつも、ポリシンセについてはPolymoogやMemorymoog以降40年近くノータッチ、アウト・オブ・眼中、作ってやるもんか臭が濃厚でした。

そもそもPolymoogの開発にはモーグ博士が関与してなかったそうで、同社にとってのポリフォニックとは、まあその程度のアレか、ということでしょう。

ところが、最近のモーグはこんな製品を発売しています。

このMoog One、8voiceは5,999ドル(約67万円)、16voiceは7,999ドル(約90万円)とのこと。

こちらも日本では販売されていませんが、かつてのProphet-5やJUPITER-8などの値段を見慣れていると、そこまでの高値感はありません。
ましてやMatriarchの値段を考えれば妥当な値付けとも思えます。まぁ買えませんけど。

RolandのJD-XA、KORGのprologue、minilogue xdといった国産のハイブリッドシンセ群に対し、SequentialはProphet-6、元祖モーグMoog Oneのアナログ・ポリシンセを出してきたのが、80年代初頭のリバイバルかよ、的な様相を呈していて、ちょっと懐かしく嬉しい感じもあります。

TORAIZはどうなるんでしょうなぁ

時代が令和に移りまして、平穏な日々が続きますようにと人々がささやかに祈る中、不穏なニュースに心ここに在らず、というニッチの皆さんも多いかと。

かねてから「飛ばし」と誉れ高きメディアの発信ゆえ、真偽の判定は時間の経過に任せるとして、もし記事の通り、近い将来Pioneer DJという企業がどこかに売却されたとしても、それ以上のハナシではないのかなと思います。

つまり、どこかに売却されたところで突然洋菓子メーカーなんぞに転身するわけもなく、今後もDJ関連機器が作り続けられるのだと思います。

もちろんその際は日本の企業じゃなくなる可能性は高く、ブランド名が残るかどうかも、買い手の気分次第なので全くわかりません。

個人的には、50年の人生で最もハマったシンセTORAIZ AS-1が、このPioneer DJの製品だけに、今後のケアだのラインナップだの気になるところですが、実は半分諦めがついていたところもあります。

というのも先月発表されたTORAIZブランド第3弾、SQUIDがDave Smith Instruments(現Sequencial)との協業商品ではなくなったからです。

https://www.pioneerdj.com/-/media/pioneerdj/images/products/production/toraiz-squid/toraiz-squid-top.jpg

なるべく機材を集約したい個人的な思いとは逆に、タコ足配線必須の製品(名前が「イカ」なのは何かの冗談かと)なので紹介は控えてましたが、こちらの情報ではなかなかすごいスペックのシーケンサーだとわかります。

シーケンスがDAWの一機能として当たり前となった今、絶滅したハードに目を付け、考えつくだけの多彩な機能を盛り込んで、唯一無比の製品を作り上げたことは特筆ものです。

こんな機器を独力で企画開発したのだとすると、現在のPioneer DJ=TORAIZは楽器メーカーとして、相当な発想力と開発力を備えているとも言えます。

一方、現時点ではAS-1の開発を最後に、旧DSIとは2年ほどパートナー関係に進展が見られないままです。
先方がSequential社となった時点で契約内容が変わった可能性はありますが。

海外の掲示板で指摘されているシンクの不具合や、発売直後からそのままのソフトウェアは、Sequential社の協力抜きには対処不可能なはずで、今後もこのまま放置されると考えていいでしょう。

この件については売却に関わらず、結果的には同じかと思うわけです。

あとはどんな経営体制になろうと、どの国のメーカーになろうとブランド名が変わろうと、これまでのノウハウが継承され、2年に一度くらい驚くような新製品さえ作ってくれれば、一介のシンセ好きとしてはまあいいか、と今はそんな心境でございます。

テルミン熱、再燃(自分が)

こんなブログを覗きに来るようなダメ紳士淑女の皆さまには説明不要かと存じますが、シンセサイザーの祖にあたるロシア生まれの「テルミン」という電子楽器があります。

存在そのものは、ザ・ビーチボーイズ最大のヒットソング"Good Vibrations"や、古今東西SF映画などでマニアには知られてましたが、日本で一般層に知られるようになったきっかけは、2001年公開のこの映画だと思います。

テルミン ディレクターズ・エディション [DVD]

テルミン ディレクターズ・エディション [DVD]

この公開前後、我が愛知県が誇る(当時在住)竹内正実さんを筆頭に、テルミニストなる演奏家にスポットが当たり、テレビ番組でもテルミン特集が組まれ、触れずに豊かな演奏ができる楽器という認知が広まりました。

http://www.maimode.co.jp/kouza/kigaku/teruminnshokyuu.html

都市部のカルチャーセンターにもテルミン講座が生まれたり、「俺は昔から知ってるぞ、吉田テルミン!ガッハッハ」なんてオヤジギャグが飛び交ったのもこの頃でした。

伝説の「イシバシテルミン」を持っていたワタクシ、当然のごとく件の映画も観に行き、さらにこんな小型テルミンを購入し、ささやかながらブームに貢献したクチです。


http://www.xecoo.co.jp/News/XMT2.htm

https://assets-atlasobscura-com.cdn.ampproject.org/i/s/assets.atlasobscura.com/article_images/49923/image.jpg
image:Atlas Obscura

テルミンは通常ピッチとボリューム、2本のアンテナを両手でコントロールして演奏する楽器です。

しかしxecoo製テルミンは音量制御に光センサーを採用しており、屋内ではうまく作動しないこともありました。

https://i.ebayimg.com/00/s/NzY4WDEwMjQ=/z/8HkAAOSwVZ1cavF6/$_86.JPG

2001年当時、本格的に演奏できる市販品は、8万円台で売られていたモーグのEtherwave以上の高価なものばかりでした。
[注]2019年現在、Etherwave Standardは5万円程度で買えます

そんなプチブームが一段落した2007年、学研が『大人の科学』としてテルミンminiを突如発売し、22万部超という記録的な大ヒットとなります。

翌2008年、学研がその勢いで世に送り出したのが「テルミンpremium」です。

2基のアンテナ搭載の本格派で1万円を切る安さ爆発ぶり。当然速攻で購入しました。

どことなく家電感の高いパッケージ。
若い女性への訴求なのか、『ウゴウゴルーガ』(フジテレビ)でおなじみの小出由華さんの姿が。

箱から出してアンテナを取り付けたところ。白い筐体がなんともポップ。

本体だけ見ると、家電感がさらに高まります。
「ひとり暮らしの女性にも優しいインターホン」みたいな。

ほぼ10年ぶりに弾いてみましたが、アース用のゴムバンドが劣化していた程度で、しっかり音も鳴りました。

ただ当時も同様ですが、低域のレンジが極端に狭く、演奏の難易度はそこそこ高いというのが実感。
ボリュームへの干渉を考えると、アンテナからの有効距離は15センチ程度なので、まともに使えるのは高域の2オクターブほどとなります。

とは言え電池駆動でスピーカー内蔵、外部出力端子もついて9千円前後という驚きの価格。
コストパフォーマンス的には2019年現在でも充分素晴らしいと思います。

10年前にはなかったmini Kaoss Pad2Sを接続し、エフェクトをかけてみた図。
これがまたベストマッチングで、とんだ時間泥棒になりました。

ところで、どうして今さらこのテルミンを引っ張り出してきたのかというと、ある家庭の事情で僕がテルミンを弾ける、なんて話が出て、近日中に人前で披露するハメになってしまったからであります。

その機会がボーナス日を跨ぐようなら、いっそのことこっちを買ってもいいかなと思ってます。
VA音源ですけどね。

テルミン博士の姪っ子であらせられるリディア・カヴィナ女史が、表情豊かにノリノリで演奏してます。
これ見てたら原理主義も一掃されること請け合い。

そういやテルミン、今年から来年にかけて開発100周年じゃなかったかな。

僕も50代に突入したんで、老後に備えて打チコミスト兼テルミニストの道へ歩み出そうと画策してます。

TORAIZ AS-1とKORG Gadgetで1曲でけた(4/20追記)

TORAIZ AS-1だけで曲を作りたくて、相方をKORG Gadget(iPhone版)に定めて以来、いろいろとやってました。

しかしここ1ヶ月、本業が忙し過ぎて、なんとか暇を見つけては16小節作って、また暇ができると前の作業に飽きちゃって新規ファイル作成を延々繰り返し、結局最初に完成できたのが、なんだよカバーかと。

4/20追記
曲の構成を直し、クラッシュもAS-1で作り替えて再アップしました。

これ、いわゆる「モンド」という言葉の発祥であらせられる映画『世界残酷物語』(原題"Mondo Cane")の主題曲「モア」です。
イタリア映画音楽界の巨匠、リズ・オルトラーニの代表作。
60年近く前の曲ですが、僕はこの曲をこのアルバムで知りました。

クール・クラブ・シネマテーク

クール・クラブ・シネマテーク

最初はオリジナル曲をと思い、鼻唄にコードをつけていたら、この曲と同じ進行になってしまったので、それならカバーで行こうと軌道修正した次第です。

カバーということで現状YouTubeかニコ動にアップする他なく(Soundcloud等ではご法度)、画は"STAELLA"というビジュアライズ・アプリでお手軽に作ってます。

STAELLA - Music Visualizer

STAELLA - Music Visualizer

  • monocro
  • ミュージック
  • 無料

音的な特徴としては、最初に書いたように音をすべてAS-1で作ったこと。
たったそれだけの話なんですけど、一台のハードシンセで全パートの音を作るなんて、もしかしたら中学生の時以来かもしれない。

で、リズムパートはDropBox経由でGadgetの"Bilbao"に取り込んで加工しています。

クラッシュには難航し、最初のバージョンではアプリ内のPCM波形で代用したけど、結局AS-1でアタックとディケイの音を別々に作って被せたらそれらしくなりました。
意外とイマドキのリズムが作れたと思ってますが、いかに。

なお"Bilbao"以外では、Gadgetで作成したフレーズを"Taipei"経由で鳴らし"Zurich"に入れたものもあれば、サンプラーガジェットの"Vancouver"に波形をブッ込んで鳴らしたパートもあります。

ちなみに"Vancouver"のサンプリングタイムは10秒。うまくループポイントを作ればコードもしっかり弾けます。

そぉ。AS-1の波形がポリフォニックで鳴らせるのです。
つまりはProphet-6化ができるのだウヒョー!

…書いててさもしくなってくるのですが、時間軸でモジュレーションかけちゃうと、キーごとにレイトが変わっちまって、もうボロボロだけどね。
それでもAS-1の音色はWAV化しても音痩せしないんで、それは大したもんですよ、ええ。

ただミックスで困ったのは、AS-1の音ひとつひとつにエッジが効きすぎて、全体のバランスを取っただけでは曲の質感が乏しくなってしまう点。

そこでマスターには、例のDeeMAXを使用しております。調子に乗って音圧をガンガン上げちまうと、スネアのアタックが潰れるので、レベルをどこに落ち着けるか結構悩みましたけども。

とりあえず生存報告でした。

『見て楽しむ アナログ・シンセ図鑑』読書感想文

ピエール瀧逮捕という今年最大の衝撃に突き動かされ、街を徘徊していたら書店でこんな本を見つけました。

シンコーミュージック・エンタテイメント刊で税抜き1,800円也。

奥付を見ると発行日が2018年6月10日とありました。
つまり発刊以来10ヶ月もの間、その存在に気づかなかったわけで、読者諸兄がご存知の中で僕だけが知らなかったという、背中に「バカ」と書かれた中学生状態かもしれません。

とは言え、なかなか面白い本ゆえ、僕並みに情弱な方がいらっしゃれば、なんとか救いにならないだろうか、早く背中に「バカ」と書かれているのを知らせられないものかと思い、筆を執る次第であります。

この本、松武秀樹さんと難波弘之さんという、過去にお仕事させていただいたおふたりの対談からスタート。

ちなみに難波さんが担当番組に持ち込まれたコルグ700Sには、コルグの工場で行ったという改造が施されていました。

そして松武さんといえばあのMOOGⅢc。
この名機から1987年まで製造されていたSEQUENTIAL CIRCUITSのMulti-Trakまで、アナログシンセ(プラスα)が50機種紹介されています。

なお掲載順は巻頭のMOOGⅢcを除き、アルファベット順でメーカーごと、製造年順に各1〜8機種となっています。

どの機種の画像も大判で、パネルのフォントもしっかり読み取れるほど高精細。
解説文に書かれた特徴あるパラメータの位置もわかり「あー、鳴らしてみてぇ」と唸ること必至です。

ただほとんどの機種に傷ひとつなく、色褪せも見られない美品状態で撮影されているんですが、発売から40年前後も経た金属&樹脂製品の保存状態がここまで良いはずはないと思われ、それなりのフォトショ美人になっているのが推測されます。

「もしも、こんな新品シンセに出会ったら…」というドリフ大爆笑でも叶えられそうにない夢を実現してくれる点で、ありがたい配慮とも言えます。

機種の選定はちょっと独特です。
例えばローランドの項目では、おそらく所有者も多かったであろうSHシリーズはわずかにSH-3のみ。個人的にはレイアウトが絶妙なSH-1を見たかったところです。

ヤマハは初号機SY-1をはじめ、CS-10以降のラインナップを追いつつも、なぜかモンスターマシンとして名高いCS-80がありません。
ただ学校教育用に作られたというSY20の画像には驚きました。パネルに表記された丸ゴシック体のカナ文字はかなり斬新です。

一方コルグは前述の700SからPolySixまでの流れをわりと丁寧に追ってる印象。
同様にモーグやシーケンシャル・サーキットも代表機種はほぼ網羅されています。

個人的に驚いたのは、MOOG The Sourceが、あのMinimoogの後継機だった、という記述。
学生時代(90年前後)何度か実機を見かけたんですが、あの妙にポップな色使いやボロボロになったフィルムスイッチを敬遠して、音を出したことがなかったんですよ。
まさかフルアナログだったとは。

そしてシーケンシャル・サーキット唯一のモノシンセPro-One。いま僕が夢中なAS-1の年上のはとこのような存在で、Prophet-5譲りのパラメータ群に目が釘付けです。

過去のシンセをWeb検索してもサイズが小さくて、どんなパラメータがあるのか知る由がなかったという貴兄におススメです。よかったらぜひ。

nanoKEY StudioでTORAIZ AS-1を鳴らすの巻。

前回の続編のようなものです。

KORG Gadget 2で新たに登場したガジェット"Taipei"で、TORAIZ AS-1をコントロールできるのに歓喜する俺、というのが前回の大まかなあらすじでした。

このAS-1、コンパクトなのに音もズバ抜けて良く、操作性も決して悪くはないんですが、いくつかの「こうなったらいいのにな、Pioneer様」を思い浮かべることがあります。

それは、

  • たまには1オクターブ以上のフレーズ手弾きしたいよね。
  • たまにはベロシティつけて弾いてみたいよね。
  • たまにはノブで他のパラメータをいじりたいよね。
  • たまにはリアルタイムでシーケンス作りたいよね。
  • たまにはモーションシーケンスもやってみたいよね。

というような些細なことであります。

もちろん、MIDIキーボードを繋いで、ノートPCでDAWなんぞを立ち上げればあっさり解決するのですが、困ったことにACアダプターすら繋ぐのが億劫というモノグサですし、曲を作る時はたいてい寝ながらという製作体制ゆえ、とにかく省スペース化が最優先案件なのであります。

それをある程度解決してくれたのが、KORG Gadget 2の"Taipei"だったわけですが、iPhoneの画面を見ていたところ…

あれ?こいつってもしかして…
ノブの数とかパッドとか、これと同じじゃねーの?と思ったわけです。

我ながら遅いよ、思い出すのが。

そういう経緯で、このセットが2019年3月7日時点で我が家の最新楽曲制作システムとして構築されたのであります。

もともとnanoKEY STUDIOは、KORG Gadget専用コントローラーのようなものですので、フィジカルなノブ操作はもちろん、前回書いた"Taipei"のX-Yパッドの大きさ問題も解消されます。

残すはプログラムチェンジだけか…

ま、いずれにしてもいい時代になったもんです。

KORG Gadget 2経由でTORAIZ AS-1とiPhoneが繋がった日。

https://cdn.korg.com/jp/products/upload/68e7085f4ff6d565cec3c56e3c46aca1_sp.png先日めでたくアップデートしたKORG Gadget 2には、新たに"Taipei"というガジェットが加わりました。

今回は一見MIDIキーボードのように地味なこいつが、実はとんでもなく有能なガジェットだったの巻です。
いや、その実MIDIキーなんだけども。

ツイッター界隈ではElectribe Waveなど別アプリの連動もできると騒がれておりますが、ファクトリープリセットを見ると…

昨今のKORGを代表するハードウェアシンセの錚々たる顔ぶれ。
発売されたばかりのminilogue xdやprologue、monologue、さらにはvolcaの名まで並んでます。

つまり"Taipei"とは、外部MIDI機器を自由自在にコントロールすることのできるガジェットなのであります。
そう書いてある。

となると、iPhoneのLightning端子から繋がりさえすれば、我が家の至宝TORAIZ AS-1もコントロールできるというわけです。ホントか?

KORG謹製のplugKEYにはLightningコネクターMIDI端子があり、こいつは適任と思いきや、実はMIDI INなんで使えません。

USB Type-BをLightningと繋ぐなんて機会はこれまでなく、手持ちのUSBメス-メスアダプターで強引に結線してみたわけですが、当然ながら無反応。

そこでAmazonで探したところ、MIDIのやりとりができるケーブルを発見しました。

送料別の1,300円だし、しくじっても死ぬことはないだろ、程度の気持ちでポチってみました。

待つこと1日。

ケーブルが届いたので早速AS-1のGLOBALメニューからMIDI関連をセッティングし、iPhoneと接続してGadgetを立ち上げます。
そして"Taipei"のSETTINGボタンを押してみると…

Outputに"Toraiz AS-1"の名を確認。
ずいぶんあっさりと認識したもんだ。

続いて"Taipei"のノブに適当なCCをアサインします。

上の段には左から、OSC1 SHAPE、OSC1 PULSE WIDTH、OSC2 SHAPE、OSC2 PULSE WIDTHを、下の段にはフィルターエンベロープのADSRを設定しました。

フィルターをアサインしてもいいんですが、本体にノブがあるんで、ここは後述するオートメーションで、AS-1の(ポリ)モジュレーションも弄ってやろうという腹でございます。

パッドにはX軸=ピッチベンド、Y軸=モジュレーションの王道コンビをアサインしました。

ただし、iPhone 7Plusではパッドの実寸が2cm四方と小さいため、メロを奏でるなんて芸当は無理。
割り切ってARP ODYSSEYのPPCみたいな使い方でよいかと。

しかしアレですね。
いまどきアナログシンセをPCと繋いだところで嬉しくもなんともないのに、iPhoneとケーブル1本で繋がると、なんかこう、軽く世界を征服した感がありますなあ(利用者の感想です。個人差があります)。

いよいよシーケンスデータの入力です。

AS-1本体でも64ステップのシーケンスは組めますが、Gadgetのシーケンサーならステップ数や譜割りを気にすることなく、単体では不可能なリアルタイム入力も、ゲートタイムの調整も思いのまま。

先に書いたように、"Taipei"のノブにアサインしたパラメータはオートメーション可能です。
指一本でカーブを描けるのもiOSアプリならでは。
CCだけじゃなく、NRPNもアサインできれば最高でしたが。

それと"Taipei"のパネルにはアルペジエイターがあります。これは他のガジェットにもあるSCALEのアルペジエイターとは別に、シーケンスのノートに対してかかるようで…

うーん、うまく説明できないな。

例えばさー、8分音符のシーケンスを作るとするじゃん?で、それに16分音符のアルペジオをかけられんのよ。モードをRandomにしたら変態プレイもOKよ。

…やっぱオラ、説明ヘタだな。ま、早い話がTry itだ。

AS-1もそうですが、たいていアナログシンセにはオーディオインターフェイス機能がないため、音はPCに別途RECしてあとでGadgetの出音にDAWで重ねるとか、フレーズごとに"Zurich"に取り込むという方法しか浮かびません。

しかしながら、アナログシンセをiPhoneからオートメーションさせつつシーケンスさせていると、後先考えることなく、ただひたすらにウェーイwwであります。

ここまでできれば、あとはiPhoneとAS-1のアウトをミキサーに突っ込んで、部屋の照明を暗くしてひとりパーティを開催するだけです。

https://images.techhive.com/images/article/2016/09/iphone7_review_adam_6_headphones_6s-100683670-orig.jpg
Adam Patrick Murray

ところが、iPhone7以降の機種はイヤホン端子が存在しない致命的なクソ仕様のため、Lightning端子をAS-1との接続で潰したら、肝心のGadget自体の音はiPhone本体のスピーカーで確認するしかない、というのが目下のところ実に、実に悩ましい。

ここはもう、液晶バキバキになったiPhone6 PlusをGadgetパーリィ専用機として登板させようかと思案中です。

というか、せっかく自社のハードシンセまで有効活用できるようにしたわけだから、MIDI OUT可能なplugKEYを作っていただけるとありがたいのですがKORG御中。